pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

#小説

チャンドラー『高い窓』

近年、いろんな文化がスマートフォンに駆逐されていますが、本もまたしかり。 旅行ではできるだけ荷物をもちたくない身としては、色々オールインワンのスマホは大変便利で、すでにウォークマンを、そしてこの頃は文庫本を駆逐しつつありますね。 できるだけ…

今年の芥川ショー。

何かと話題になっている、『火花』を読みました。 芥川賞受賞小説を読んだのは、実に辻仁成の『海峡』(だったっけ?)以来。 (あ、平野啓一郎もうんざりしながら読んだっけ…) あの頃文学青年(少女ではないなぁ)だった私は、あれ以来、芥川賞はただの文…

『大いなる眠り』

村上春樹の新訳による、レイモンド・チャンドラーのマーロウシリーズ第1作。 勝手しばらく放置していたものを、春の旅行をきっかけに読んでみました。 とにかく、この頃は本を読むのがしんどいお年頃。 村上氏はマーロウの最後話『ロング・グッドバイ』から…

マノン・レスコー

電車移動が長いので、課題の『マノン・レスコー』完読。 1998年の刷を前回何の用事で読んだかは覚えていないのですが´д` ;、歳とった分だけ、理解が進んだような気がします。 まず。 小説の主人公は、バレエとはちがい、マノンではなくデ・グリュー。 男の視…

レイモンド・チャンドラー『リトル・シスター』

村上春樹訳のマーロウシリーズ3作目。 ↑村上氏は好きな順に訳しているらしくて、シリーズ的には5作目、前訳『さよなら、愛しい人』とは違い、戦後の作。 『さよなら~』ほどマーロウは滑稽でもなく、『ロング・グッドバイ』ほどハードボイルドではない。 し…

レイモンド・カーヴァー『ビギナーズ』と編集。

まだ行けてませんが、ホッパーはみたいと思う「モダン・アート、アメリカン」。 私が好きな、「乾いたアメリカ」を感じさせる画家です。 同じく、「乾いたアメリカ」味が好きなレイモンド・カーヴァー。 一時は手に入りにくかった訳本も、いまはお手軽に買え…

レイモンド・チャンドラーをふたつ。

もうずいぶん前になりましたが、レイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』を読みました。 しばらくさぼっていたところ、もうひとつ村上訳で出ていた『さよなら、愛しい人』を読んだついでに、まとめて感想を書いときます(^^;)。 村上氏があとがきに…

「ギムレットには早すぎる」

今年は梅雨明けが早かった割には海の日連休のあとに台風が来て涼しくなったり、お盆後の大雨のあと涼しくなったりと、去年の猛暑に比べればずっと秋の訪れが早くもあるようで、ちとさびしい今日この頃です。 家族旅行も例年より早かったりして、なんだか夏の…

エド・モダン

有名ですが、好みとはずれるので、よくやっていてもあまりまともにみることがない岡本太郎。 川崎に美術館があり、ときどき面白いモダン(戦後間もなくモノ)をやっていますが、如何せん遠くて、北代省三以来いっておりませぬ(^^;)。 常設コーナーには太郎の…

『C夫人の恋人』

現代は本質的に悲劇の時代である。だからこそわれわれは、この時代を悲劇的なものとして受けいれよ うとしないのである。大災害が起り、われわれは廃墟の真っただなかにあって、新しいささやかな棲息地を つくり、新しいささやかな希望をいだこうとしている…

完読。『双調平家物語』

カテゴリー「文学なぞ」の前記事に途中何もはさむことなく、ようやく橋本治『双調平家物語』を完読しましたよ~。 ふう。 いままで読んだ最長の長編『指輪物語』9巻を超える全16巻。 ちなみに、岩波の『紅楼夢』は途中7巻まで読んで、絶版刊行待ち。 長。 前…

橋本治『双調 平家物語』

そのむかし、『桃尻語訳 枕草子』なるものを読んで、「いかがわしい」と思った記憶のある私。 そもそも、清少納言があまり好きではなかったのか…。 私も橋本氏も年をとってお互い丸くなったのか(^^;)、『芸術新潮』に連載されていた「ひらがな日本美術史」を…

『薔薇の名前』

今年の夏のイタリア・マイブームの最後に。 ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』を再読してみました。 大ベストセラーだと思って話をしていたら、その場にいた老若男女が誰も読んだことがなかったから…。 私が初めて読んだのは学生の頃で、ハードカバーの本…

吉本ばなな『不倫と南米』

もうだいぶクールダウンしましたが、南米つながりで読んでみた『不倫と南米』。 吉本ばななは高校生のとき読んだ『キッチン』以来。 個人的に、ふだん現代日本文学(というか文芸?)にはあまり食指は動きません。 デビュー作『キッチン』からずいぶん年月も…

5月と南米。

個人的な印象ですが、5月は南米の小説をよく読むような気がします(当人比)。 寝具から毛布がなくなって、シーツの冷たい感触に変わるシーズン(笑)、ベッドの上での読書がすすみます。 暑くもなく寒くもなく、しかも、この先しばらく寒さに脅かされること…

古井由吉『杳子』

文章を書いていて、うまく感情が表せないな~と思ったとき、昔読んだ小説を読んだりします。 もともと、一度読んだ本はあまり読み返さない人でしたが、この頃はそうでもなく。 参考に、と思ってかえって打ちのめされてしまう(←?)のが、古井由吉の『杳子』…

『ムーミンパパ、海へ行く』

ムーミンシリーズを読み始めて6冊目、ここにきて、お、重い。 いままで1日で読めたものが、今回1週間はかかった模様。 パパの男らしい孤独(←自分がすべてを決める、と決めて空回りする)が、あ~、こういう男の人知っているな~(←しかも、キライなタイプ)…

『たのしいムーミン一家』

子どものころ、正直好きではなかったムーミン。 アニメをみた記憶はほとんどありませんが、たぶんカバのような造形と色が好きでなかったのでしょう。 個人的にどうも、淡い緑か青のキャラというのが苦手のよう(ドラえもんブルーとか)。 カバにもトラウマ?…

仕事の終わり

皆さんの趣味は何ですかに。 私の趣味はあまり人にいえたものではない(←?)ので、「休日は何してるの~」といわれると結構困ります(^^;)。 でも今日は、ようやく一つの大きなことが終わったので、書こうかな~と。 実は?、文章を書くのが趣味だったりしま…

永井龍男『冬の日』ほか

地方紙の文芸コラムで永井龍男が紹介されていたので、読んでみました。 近頃の文章書きはどうも説明臭く、永井に倣え、とのこと。 永井は『黒い御飯』のような、時代がかった、下町人情貧乏臭、という作家のイメージがあったので、ちょっと半信半疑。 ちなみ…

『未成年』その後

結局下巻買いました。 このころには「青臭」にもやや慣れ、登場人物の関係図も頭に入りましたが…。 う~む。 いちばんよくわからないのはヴェルシーロフとカテリーナの関係。 運命の度合いがよくわからん。ただの美貌か、率直さ(←私にはやはりやり手にみえ…

ドストエフスキー『未成年』

大学1年生の頃、一部の男子学生の間に『カラマーゾフの兄弟』が浸透していたのに、田舎者の私はずいぶん驚いたものです。インターネットがなかった当時、どうやってみんなその道に入るの~? というのはさておき、私も大学3年生の終わり頃に『白痴』『カラマ…

スタインベック「エデンの東」

久しぶりに読み返しました。二度読みなのでかなりはしょっているが、いい話だ~ もちろん、やな人もいるし、ときどき挿まれるスタインベックの自伝的な話も余計な感じがするけれど、出てくる人物たちがいい。とくにリーがいい。 最後の、キャルのためにアダ…

お知らせ

昔に立ち上げたHP。 最近は全く更新していないし、全然凝ってませんが、若気のいたりで書いた感想文も多く残っているので、興味のある人はぜひ読んでみてくださいまし。m(_ _)m http://www.geocities.jp/picomoom2001/

ボルヘスのための音楽探し

どっぷり文学の世界につかりたいな~と思いつつ、こうしてネットなんかしてると時間がなくなる… し、映画とか本とか、読むまでがしんどい。集中するのにエンジンがかかりにくいというか…、年か? というわけで、ボルヘスもちびっとずつしか読んでません。 ボ…

ボルヘス

最近久しぶりにボルヘスを読んでいると、昨日のブログに書いたつもりだったのに、なぜか消えた。 (ただのアップ忘れだと思うけど…) とてもボルヘスらしいので、もう一度書く気にもなれません…。

サリンジャーについての雑感① 『ゾーイー』

深い理由はないが、新潮文庫が好き。栞付きがいいのか…? ときどき表紙が変わるけれど、最近はなんだかいやらしくなっていますね…。 村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の最後のあたりで、主人公と図書館司書の女のコ?の間で次のよ…

レイモンド・カーヴァー「ブラックバード・パイ」

翻訳で文学批評というのもセカンドハンドっぽいですが、背に腹はかえられぬ(開き直り?) 本日現在、村上春樹は嫌いなのだけど(シンパシーが感じられずむかむかする感じ)、村上春樹を通してアメリカ文学に触れることが多いです。 その一人がカーヴァーで、…