pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

マノン・レスコー

電車移動が長いので、課題の『マノン・レスコー』完読。

1998年の刷を前回何の用事で読んだかは覚えていないのですが´д` ;、歳とった分だけ、理解が進んだような気がします。

まず。
小説の主人公は、バレエとはちがい、マノンではなくデ・グリュー。
男の視点からみられた悪女の物語、ではなくて、男の物語(※語弊があるな…)でしたよ。

マノンは男をたぶらかした悪女でも、不可思議な二面性をもつものでもなく、誘惑という悪の権化でもなく、理想化の権化でもありません。

作者のアベ・プレヴォーが僧というのもなんだが納得。
説教臭くはありませんが、魂の惑いを描いてみせた物語だなぁ、と思いました。

描写によると、デ・グリューはやんごとない身分で、美男子らしく、会う人会う人を魅力するのですが、マノンとの関係が深刻化するにつれ、当初のピュアさが平気で人を裏切るようになり、ここにこそ、恋の狂気があるように思われます。

現代のストーカー殺人のように直接的な刃の先はマノンに向かない、とはいえ、恋にのめりこむ危険は相通じるような´д` ;

ある意味、デ・グリューがマノンを死なせたようなものだし。

そういうところが、お坊さんの話らしい、と思うわけですが´д` ;
伝記によると、アベ・プレヴォーも波乱の人生を送った坊さんらしく、『シャヴェリエ・デ・グリューとマノン・レスコーの物語』は彼の自伝的要素があるそうで…、なるほど、かなりリアリティにあふれています。

過度の理想化もないし、恋にのめりこんだ若き日の自分はバカだった、的な述懐もないので、読んでいてさほど腹はたたない「男の物語」です。

ちょっと読みにくいですが、恋にお悩みの男子諸君に読むことをオススメしたいと思います;^_^A
あと、もてない?男子をたぶらかそうとする女の子にも。男って、怖いよ…。