pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

マシュー・ボーンはセンセーショナルなのか?を「ロミオとジュリエット」で再び考える。

さて。

円安&没落の日本の影響(あと、ロシアの戦争)が、ついに海外バレエ団招聘にも影を落とすのか…と思う今シーズン。

今のところめぼしい?バレエ公演がありません。

 

…という根拠不明の理由により、渋々?マシュー・ボーンの「ロミオとジュリエット」の公演に出かけてみました。

 

ボーンは「シンデレラ」以来6年ぶり。

もはや誰がスターとかあまり関係ないので、とにかくボーンの舞台としてみる。

…とはいえ、チケット買う前にキャスト表は出してほしいなぁ…

 

みる前に、だいたい設定を確認しておく。

慌ただしく日曜の渋谷に行くことになったので、時間が全然なくて(12時開演というのは、地方在住者にとってとても中途半端)、プログラムは買わず。

だけどまあ、ロミ&ジュリは吐くほどみているので、だいたい音楽でキャラクターやシチュエーションはわかる。

たとえ、全員が白衣装でも…

 

舞台設定が現代(聞くところ近未来)というのは、ボーンにはじまっている振り付けではなく、これまでもマッツ・エクやベジャール(但し音楽が違う)、ナチョ・デュアトなんかでみたこともあり、今更目新しくもなし。

また、エクの「ジゼル」のように、クラシックバレエの非現実空間が矯正施設に再設定されるパターンも、また取り立てて飛躍があるわけでもない。

 

ただ、前回の「シンデレラ」からの流れで、ボーン自身がプロコフィエフの音楽の魔法に取り憑かれたのか、プロ氏の音楽と舞台の一体感を高演出しようとしているのがとてもよくわかりました。

生オケではないけれど、プロ氏のバレエ音楽の面白さを、つくづく感じました。

 

ダンサーは、クラシック・バレエのメソッドに慣れているとそれほど洗練がないというか鈍重なんですけれども、舞台と思えばあまり気になず。

 

なので、先鋭的な「ロミオとジュリエット」のバレエ公演、というよりは、ロンドンの下町の劇場でステージを堪能する、といった感覚がつよい。

若者役のダンサーたちも、細身・洗練されたクラシックバレエダンサーのフェアリー感はなく、ロンドンっぽい多様性というか。

実際にロンドンにいたときに感じた、ロンドンらしいイモっ子感満載で、オフィサーがまさにそう。

顔がちっちゃく、制服を着ていると上半身が太くもっさりしてるなー、と思うんだけど、腰の位置が高くて、脱ぐとなんだかセクシー♡なところなんかが…

 

ロミオが最初全然出て来ないんですが、権力者の出来損ないの息子として登場した際の存在感というか流れる?ような動きを見て、あー!と思ったのが、「ロミオ」という名詞が「果報者」という意味を持っているということ。

ある意味、正しい「ロミオ」の翻案。

 

ただ、説明にあるような「近未来」感はいうほどでなく、むしろ、ボーン自身の世代の「若者」感、近過去といったような感じが、むしろする。

 

ストーリーの肝が、「抑圧する世界」と「争う若者」といった構図、これがまあ、なんというか今の時代のリアルではない、と私には思えたのです。

 

「若者」ではなくなった私からすると、若者が革新を目指し戦う意欲を燃やしていた時代は終わり、世の中はそう簡単な構造ではないことを多くの人が気づいているわけであって、また1990年代以降お生まれの方(特に日本か?)にはそのような意欲さえないのでは…?と思うわけです。

 

そんな気がしたので、まあ楽しんでみることはできるんだけど、ストーリーに切実に迫るものはなくて、「先鋭」をみるのとは違うなあ、という気分になりました。

そういう意味ではボーンを有名にした「白鳥」以来の「イギリス社会の典型を垣間見る楽しさ」以外は特に見どころのない、凡庸なボーン劇場、というところか…

 

と、決して貶しているわけではなくて、ボーンを「センセーショナルの旗手」とみるのは誤り、という点だけは指摘しておきたい、といったところ。

 

 

パリ・オペラ座バレエ「マノン」2024

前回はコロナ禍幕開けだったオペラ座来日公演。

4年ぶりで観てきました。

 

「マノン」は10年ほど前にABTで実見したことがあり、また映像としてはデュポン様のDVDがあります。

なので、ヌレエフ版の「白鳥」と迷ったのですが、この数年の間にエトワールが全く知らない顔ぶれになっていたこともあり、これまた「白鳥」もソフト化されているホセ・マルティネズ&カール・パケットを超えることも期待できず、結局マノンを選びました。

 

ユーゴ・マルシャン&ドロテで観たかったところですが、休みの関係で、ミリアム&マチューペアに。

ミリアムは、全然知らない人ですが、今年アデュー公演があるベテランだった。

し、個人的には前回のマチューの件もあり、マチューはスターではあるけど、私にとってはある種賭け。

 

それにしても、円安・物価高直撃、チケットは3万弱だし、プログラムはあの内容の薄さで2500円もする…

ロシアのバレエ団もしばらく観られないでしょうから、海外ものはこの先…難ですね。

 

さて。

「マノン」を選んだのは、どちらかというとこちらの方がゴージャスだから‥と思ったからなのですが…、うーん、どうなんだろう。

前回ABTはびわこホールだったのですが、東京文化会館は狭いのか?

1幕の馬車待合のシーン、なんだか狭苦しくて、ダンスがよく見えなかった。

し、デグリューがいつからいたのか、全然わかりませんでした。

マノンとの出会い(ぶつかる)が全然運命的に見えず。

 

この幕のマチューは、ちょっと足がガクガクしてて、やっぱりあまり上手くないのでは…と思いましたが、その後はブレがあまり気にならず、それなりに(何様?)キャラクターがわかるようになりました。

やはり、私との相性があまり良くないのか…?

 

ミリアムはどちらかというと可憐なタイプで、ジュリエットとかがあいそう。

16歳の、世間知らずで天真爛漫なマノンには合っているように思いますが、2幕は愛人としての変貌、ゴージャス感が今ひとつ。

たくさんの男たちに囲まれる、ファム・ファタル的な、ダイブっぽいリフトが見せ場だと思いますが、今ひとつ凄みが感じられず。

これも初見ジュリー・ケント(パートナーはボッレ)、デュポン様が圧巻すぎなので…。

 

マダムに好みの女の子を所望する紳士陣の描写について、高齢(杖をついている)男性が「ボン・キュッ・ボン」を所望するという描写が戯画的なのが定番と思っていたのですが、この男性の身体不具性を強調する振りがなかったのは、時代なのか。

 

それにしても、背景の人々がやや平面的で(やはり舞台が狭いのか?)、オペラ座の将来がやや不安。

マノンの酔っ払いダンスもABTでは超絶技巧を感じたものですが、今回は踊りの合間のマイムでかろうじて酔っ払ってるのがわかる、という具合で、感動はなく、愛人も、ドレスの色が違うだけで他の踊り子との見分けがつかないくらい。蓮っ葉のリーダー感がやや乏しい。

 

「マノン」を見るといつも(原作を読んでも同様)、マノンという人物像がわからなくなるのですが、今回もどちらかというとそんな感じ。

ミリアムは可憐な少女性があるマノン、ではあるけれど、未熟ゆえの浅はかさよりのマノンでもなく、終始いい子にみえました…。

 

今回はどちらかというと、「デグリューの物語」にみえる(というかいつもか)『マノン』だと思いました。

1幕では不安に思ったマチューも、2幕以降はキャラがわかるように。

童貞(ではないかもしれないけど笑)らしく、独占欲強い、でもマノンが窮地だと愛情深く見えうる、リアルな「恋する男性」像。現代のモラハラ男みたいけど(笑)、そこがリアル所以かしら。

マチューの感情表現は、ちょっと直情的傾向があって怖いタイプだなーと、前回のオネーギン同様に感じました。

 

前回来日はデュポン様が芸術監督就任直後、今回はマルティネズ氏就任直後。

(客席にご本人がいました。すっかりイケオジに)

私的黄金期のエトワールが運営陣にいるという時代になったように思いますが、20世紀の偉大なるコレオグラファーたちが相次いで逝去した今、オペラ座も(元々かもしれませんが)保守化している感があります。

伝統を継ぎつつ、伝統を刷新して欲しいと思う今日この頃です。

 

 

 

能登半島

2023年 珠洲外湾の海

 

1月1日に起きた能登半島地震の被災者の皆様に、日々の暮らしが戻りますように。

 

私自身は隣県西部にいて地震にあい、震度5強の揺れを感じました。昨日現在もまだ余震が続いており、当県としては異常事態。

幸い、家族に大きな被害はありませんでしたが、同じ市内でも海沿いの街は被害が大きかったようです。

 

能登半島の付け根にある町に暮らしているので、小さい頃は夏休みの家族旅行にもよく行き、大人になってからは、忙しい最中(そしてコロナの行動制限下)にちょっとした日常を忘れられる日帰りドライブコースとして、非常になじみ深い地域。

しかし隣県とはいえ、奥能登は遠く、高速(無料道路ですが)は穴水が終点で、輪島へは山地を抜けるしか出る道はありません。

 

2023年の9月には、6年ぶりに珠洲芸術祭へ日帰りドライブに行き、前回2017年とは逆回りコース、外浦へ出て、半島ほぼ先端の禄剛崎へ到達、富山湾側にぐるっと戻って帰る旅程で巡りました。

 

能登は海、というイメージがあるかもしれませんが、実際に行くとほぼ山地で、海沿いの249号線沿いにわずかに建物があるもすぐに山が迫っており、小さな集落が時折あるようなところです。

まさに、「里山」という地域。

 

2023年は主に海沿いを巡ったため、あまり内部を横断しませんでしたが、前回はこうした山地側の集落にある作品を見るために、何ヶ所か山を横断しました。

 

今、各地区の避難所の物資や情報が寸断されて、全体把握が遅いと言われているのも、さもありなん、という地形だと思います。

 

冒頭の写真は、最初に立ち寄った、塩田千春作品のある旧保育所のある、高台から撮ったもの。

5月にも地震があった後でしたが、穏やかな港の風景。もしかしたら、現在は地形が変わっているかもしれませんし、津波の被害は逃れ得ない海との近さの民家ですが、すぐに山が迫った地形であることが、写真からおわかりでしょうか。

 

曽々木海岸のそばに「今新」というお食事処があって、当時ちょうどこの辺りでも土砂くずれの修復工事をしており、その交互通行の長い信号に引っかかってしまい、前回の訪問時に道中飲食店が少ないことに苦労したため、車を止めて立ち寄りました。

ご年配の夫婦が営むお店でしたが、ここも本当に海が近いので、津波被害が心配なところ。

 

禄剛崎近くの作品

 

「最果て」というのが文字通り体感できる、禄剛崎

近くに狼煙の道の駅があります。

女ひとりでドライブしていると、一本道の能登半島では旅人によるセクハラ?にあうこともあり、嫌な思い出ができたところですが、ここのお店は高齢の女性が働いておられました。

 

ここで折り返し15時頃、このさきもコンビニはあまりないので、ドライブ中の命を繋ぐために、おばあさんが不慣れな手つきで作ってくれた豆乳ソフトをおやつに食べました。

 

旧正院駅

17時に閉まってしまうので、2023年は折り返しの狼煙あたりから飛ばし気味の観覧になり、前回行った珠洲の中心地はあまり丁寧に巡れず、2回目に別日に行こうかと思ったら、しばらく能越自動車道が工事通行止めになってしまい、再訪できず。

最後は正院駅で終わりました。

 

外浦ののんびりした雰囲気に比べ、中心街のある内浦(富山湾側)は、2017年訪問時に驚いたことですが、港町として昭和期は活気があった町と思われる面影があります。

 

蛸島エリアの民家

そのため、民家を利用したインスタレーションには、びっくりするほど立派な輪島塗の祝い食器が多用されており、私のような中年にはそれがとても哀しい現実に映りました。

 

この辺りは住宅が多く、それでも当時、また5月の地震後に貼られたと思われる赤い警告の紙が貼られたままの家が残っていました。

 

今年は暖冬といわれますが、1月は大寒に向けて降雪が続く北陸地方

能登の人々の現状がとても気がかりです。

 

 

 

 

2023A Wの展覧会シーズンーイヴ・サン・ローラン展

イヴ・サン・ローラン

さて。

アフター・コロナで、各地、滞っていた企画が目白押しのシーズン感を感じる今日この頃。

 

各地で見たい展覧会目白押しな気分と出不精癖の葛藤に苦しむ今日この頃。

猛暑で動けなかった7−9月が恨まれます。

 

さて。本格的シーズンは10月10日前後、と思っていたのですが、なんとなく7月のうちに見そびれた国立新美術館展のテート展が連休前に終わってしまうので、大阪で見るか迷ったところで、なんとか9月末に滑り込んできました。

 

…これは話題になったのが完全に番宣だと思いましたが…、ついでに、始まったばかりだったイブ・サン・ローラン展を見てきました。

 

春にディオール展がチケット入手困難になるほどの過熱っぷりでしたが、実際はどうでしたか?

混雑ノーサンキュー、ゆうほどディオール好きか?、そもそも、ファッション展は展示でがっかりすることが多く、こちらは見てはいません。

 

…というくらい同じテンションで、チケットがあったし、くらいで行ってみたイヴ展ですが、実際にはかなり感銘を受けて帰ってきましたよん。

 

たとえガリアーノの時代があったにせよ、ディオールの1950年代ルックはやはり、私にとて「おじさんが好む良家良嬢ルック」以下でも以上でもないところ、ですが、イヴは、なんというか先鋭的でありながらも、反逆からくるのではなく、繊細で本質的、芸術的、因襲的でなく多元的、というところが共感できました。

イヴとディオールは切っても切れない関係なんですがねぇ。

やはりディオールは、デザイナー自身の感性を知るには早逝してしまったために知る由がなし、というところか。

もちろんイヴも全然私の同時代ではありませんが(90年代は沈滞の感があるし、引退の瞬間に再注目されたデザイナー、という世代観)、20世紀を体現したデザイナーであることに共感。

 

ファッション展に何が共感できないかといえば、マネキンが着た服がなぜかいつももっさり感を放ち、感動が薄まってしまうことが多いなのですが、今回の展示は不思議とそんな感じはせず、クチュリエたちの魂がじわじわと感じられました。

すごく演出にこった、という感のない展示なのに。

 

もちろん、今はデザイナーが違う創業者の名を冠しただけにすぎない一ブランドだし、とはいえ服はとても買えませんが、最近出てるカッサンドラのバックなら買えるかも(欲しい…)と思う今日この頃。

コンサバに振れないようにコントロールすれば、今もYSLはとてもかっこいいメゾン。

黒といえば川久保怜や山本耀司が始めた世界のようにも語られますが、なかなか、イヴのノワールも、革新的でアイコニックです。

 

…と、あまりに(意外に)感動したので、図録を買っても良いかも・・・と思ったのですが、た、高い。

しかし、今の感動を忘れてしまうのももったいないし…、と思って買いましたが、どういうわけか、図録の写真ではやはり実際のドレスの美しさがちっとも再現されておらず。

せっかくなら、もう少しブランドの粋を再現するスーベニアが欲しかったなぁ。

最初の週末に売り切れてしまったというトートバックが気になります。

ノイマイヤーの「シルヴィア」

 

私的、20世紀後半期最後の偉大なコレオグラファー・ノイマイヤーがついに引退するそうです。

ベジャール、ピナに続き、私が目撃できたコレオグラファーの時代がまた終わり、ついに浦島タロこの時代が到来…。

 

というわけで、3月のサヨナラ公演は早々に観る予定だったのですが、演目が「シルヴィア」と、少々「?」なところ。

「ジゼル」などと並ぶクラシック版の方は見たことはなく、ストーリー自体もあまり見どころなさそう・・・、ということで、さよなら演目でなければきっと見なかったであろう。

 

あらすじがわからないとなんなので、最初にプログラムを買いましたが、やはり盛り上がりに欠ける。

まあ、ノイマイヤーさんがなんとかしてくれるだろう…と思いましたが、生オケにも関わらず、とっても眠くてしんどい 2時間でした。

 

ノイマイヤーも全て完璧、とは思わない昨今なんですが、ふと、最初にノイマイヤーを実見した「眠りの森の美女」ノイマイヤー版と似た印象だなあ、と思う。

オリジナルのシルヴィアの方もなんだか起伏がない演出のようで、それを整理して筋を通したのがノイマイヤー版、との解説でしたが、どうなんだろう。

なんとなく、11月に見たマイヨーとおんなじ感じで、やはり現代化に限界のあるクラシック演目というのもあるのでしょう。

現代あまり上演されない全幕もののモダナイズ上演は、要注意かも。

 

主人公のシルヴィアを演じた菅井円加さんは、とにかく最初のワイルド感がものすごく、ほんまに「愛を知って変わる」のか最初かなり疑問に感じるほど。

しかし、「アモール」後があまり意思が感じられない、一体どういう女性なのか全くわからない感じになり(去勢された木偶の棒感がすごい)、これはダンサーの力なのか、演出のせいなのか、すごく疑問に残った次第。

(この辺も、マイヨーのじゃじゃ馬ならしと似た印象)

 

そこで、元々はパリ・オペラ座のために振り付けられたということで、オペラ座の「シルヴィア」DVDを中古で買いました。

廃盤&需要見込み?で値段が上がっていましたが、ジャケットの状態が悪いという激安ディスクを発掘できたので、鑑賞。

シルヴィアがオードリー・デュポン様、アミンタがルグリ先生、ディアナがマリ=アニエス・ジロー姐さん、アモールがニコラ・ル・リシュ(呼び捨て)、エンディミオンがホセ・マルティネズ氏という、信じられないほど豪華なキャスティングです。

ビバ、2000年代のオペラ座

 

とにかくとても見目うるわしい人々の映像なので、目のやり場に困ってしまう(?)くらい。

デュポン様は、狩猟女時代のワイルド感は少々控えめですが、ジロー姐さんと並んだ時の美しきアスリート感がすごい。

画像で見ると、舞台より接近した視点になりますが、結構複雑なリフトが組まれていますが、みんな難なく優雅にやってのけるから、さすが。

アモールはお茶目度がル・リシュの愛敬ある顔に合っているし、誘惑者としてイケメンに変貌する切替もさすが…。

ひたすら眠る青年役のマルティネズ氏も、流石にこういう繊細な表現が本当にうまい。本当に、眠ってますよね(笑)。

ルグリ先生だけが、残念ながらキャスティングがちょっと合ってないのでは…という感じ。もう少し、世間知らずの若者然とした配役の方が良かったと思います。

 

しかしまあ、デュポン様をもってしても、やっぱり後半のシルヴィアが「何を考ええているかわからない女」から脱することができないような気がしました。

つまり、私的にはノイマイヤー版「シルヴィア」はあまり面白くない演目、ということかしら。

 

あまり深掘りする意味はなさそうだけど、消化不良解消のため、よりクラシカルに近いアシュトン版と見比べることに。すっきりすると、いいですね…。

 

 

プチプラまつりとGU世代。

 

 2回目の+J以来、コロナ禍も相まって、プチプラまつりにしばしば参加。

特に昨年のマルニ以来、症状は悪化ぎみ。

 

さて。

GUは数年前から、ケイタマルヤマ、アンダーカバー、ミハラヤスヒロなど、リアル90年代の中年世代には懐かしいトーキョーブランドとのコラボをやっていますね。

(もっと前からあったらスミマセン)

 

アンダーカバーは意識高すぎ値段高すぎ、とてもGUと組みそうにないブランド、というイメージでしたが…、毒のあるイメージそのままに、でもやはりチープ感否めず、この時はあんまり盛り上がりませんでした、個人的に。

 

GUはどんなに評判良くてもやはり若すぎチープすぎ、というので、時々眺めるけどやはり買わないことが多かったのですが、最近クラー○ス似のワラビーが評判になったのでオンラインをのぞいた時、気づいたのがビューティフルピープルのコラボ。

 

ビューティフルピープルが一番インパクトがあったのは、先の3ブランドよりやや遅く、2000年代くらいだったと思うけれど、みなさんあんまり覚えていないようですが、10年ほど前にもユニクロとのコラボを一度やっています。

当時もコートを出しており、比翼・シングルのキンガムチェックのショートコート(6000円くらい)がとても重宝してしばらくスタメンアイテム、そんなにかぶらなかったような…、気がします。

 

同じ頃、通勤用のトレンチが欲しくて、しかし当時はスリムシルエット全盛期、なかなかジャケットの上から羽織れるレディースコートがなく、BPはサイズが140−160まで選び放題という良さがあり、↑上の20倍くらいの値段がしたけれど、清水から飛び降りて160サイズを10年ほど着ていました。(近年丈が短いのが嫌になり鞍替え)

 

・・・ということで、個人的には懐かしいなあ、と思い。

 

近年のユニクロ系のコラボは、概ねジェンダーレス傾向にあり、今回のBPもレディースと言いつつほぼユニセックス

まあ、先の私のエピソードのように、流行に関係なく好きなサイズを好きに着たい人によい、というのはBPの真骨頂のような気がします。

 

というわけで、発売前にいろいろみていると、結構女子より男子が盛り上がっているような気がしました。

そして30代男子某チューバーは、いっぱしの口をきても、BP知らない世代・・・なのですね。

とかいう懐かしい私にとっても、最近は「beautiful people」というロゴテープばっかり貼ったブランドに成り下がっているような気がしていましたが・・・。

 

さて。

発売日当日は平日で、一般店舗ものが多いし、先日のマルニで大空振り(まさかの大量在庫捌きセール)くらったので、週末(厳密には週明け)の休みにでも行くか、と思っていたのですが、一番狙っていた超ワイドタックPTの前評判が高く心配?になり、GUの服を買ったことがない身には賭となりましたが、朝8時にオンラインオープンだったので、出勤前に最低限の注文、パンツ 2本とソックス1組をポチることにしました。

 

・・・結果。

帰りに閉店前の近い店舗を覗いて観たら、まだ買えそうでしたが、全体的にパンツとソックスの完売多発だった模様。

トレンチも最初は欲しかったのですが、実見すると、ベージュのトレンチはすでに持っているし、ボタンが意外ととめにくかったので、ネットの注文分で十分だったなぁ、と。

 

PTは注文サイズSと念の為Mを試着。

エストはSがほぼピッタリ。もう少し余裕を持って履きたかったところですが、Mではお尻が大きすぎてシルエットが意味不明になったので、やむなしかな、と。

ちなみに162センチ痩せ型足長め(笑)です。

 

Mサイズは男子の狙い目と被りなのが、結構売れ切れた理由なんでしょうね。

 

今日ネット注文品が届いて、試着してみました。

選びきれなくて黒・ブラウン 2色買いましたが、同じSでも個体差があるようで、なぜかブラウンの方がゆとりを持って履けました。

サイズ的にまあ適正。

折り返しのデザインが可愛いのですが、丈が短く、裾がもさっとしてバランスが悪くなり、ストレートママで履きそうです。

ちなみに、太パンツは他にも持っているのですが、安いと、気軽に履けて良いですね。

(ワイド&ロングは汚れやすい)

 

最近はプチプラ沼でアイテム買いすぎ病でしたが、今回は絞って良かった。

あとは、自分で洗濯して、この張りが保てるかがキモですね。

 

Y2KとMARNIコラボ

 

明けましておめでとうございます。

 

近年Z世代とか、Y2Kファッションとか。

リアル2000年の過去若者だった私から言えば、当時も1960年代70年代リヴァイバルだったと思うので、20世紀後半以降の人間は何も生み出さなかったのかいな、とつっこみたくなる。

 

昨年はユニクロとMARNIコラボがあり、プラスJとは違って、賛否両論が激しかった気がします。

 

すでに1990年代にはビックメゾンだったジル・サンダー(そして、デザイナー自身が経営を離れるブランドという、新時代の始まりを感じたトピック)に対し、デビューの瞬間から目撃してきたMARNIは、デザイナー自身も毛皮ファクトリー社長夫人という、経済的には心配要素なく好き放題できた(と想像)立ち位置からの振り切ったデザイン(先鋭的かは別として)、という、ある種好対照な2大メゾン。

 

ストイックさが在来のユニクロ路線と親和性が高いジルに対し、ラグジュアリーの具現のマルニはよくもまあ、ユニクロと組んだものだ、と思った(以前HMとのコラボもあったけど、ファッションの先鋭性の高さではこちらの組み合わせの方がわかる)ところ、やはり破綻関係だったのか、年末年始に驚くべきセールをかけてきましたね…。

 

個人的に「好きか」より「マルニらしさ」の記念購買意欲に負けて、でも思うように買えなかった春夏(このシーズンはメンズの方が良かった)のリベンジで、秋冬はセールシーズンのかぶりにも負けず楽しみにしてたのに…。

 

今回は仕事が超忙しいシーズンかぶりだったので、かつ、地元店舗は「一部限定」全滅だったので、店舗行かずにネットでポチりました。

 ・カシミアボーダーセーターのブルー系

          色味的、素材感的に実物を見たら買わなかった。

   セール価格8000円くらいが真価だなぁ。

   自分でもそう思ったけど、「ドロンパ」カラー。

   買わなかったけど、オレンジ系は「ジャイアン」カラーだと思う昭和世代。

 ・ボーダーカーディガンのオレンジ系

   納得値段だったのに、セールで2000円でも売残(涙)

   マルニらしいカラーロングだなー、と思いつつ、まだ1回しかきていない(涙)。

   後日、サンプルが店舗にも出ていたので、サイズを確かめてから買いたかった。

   安くなっているから、青も買おうか検討中。

 ・スカーフ ウエーブ模様のブラウン・緑系

   一番、納得の品かも。色彩感がマルニらしいし、記念購入にもおすすめ。

   他の色も買うか悩んだけど、後日店舗で見たら、プリントがそれなりに安っぽい。

 ・靴下 ボーダー青系、オレンジ系、チェックのピンク系

   年中靴下で体温調整している靴下フリークとしては、ヒートテックの短丈(ふくらはぎ丈は極寒地域の冬にはやや厳しい)は微妙でしたが、意外と良い。

   ただし、組み合わせの無地バージョンの色は微妙に使いにくい。

 ・バギージーンズのマスタード

   店舗でサンプルを着用したら、冬場よくきる黒いセーターとの組み合わせが良かった。

   ただし、激寒・雨雪の多い地方なので生地が薄すぎ等、1月現在着用していない。

   つくづく、販売開始期間が遅いのが恨みどころ。

 

とまあ、こんな感想。

小物が可愛い!カラーのヒートテックがかわいい!と言われても、乾燥肌につきヒートテック自体NG、冬小物の素材も肌が耐えれるか問題があり、見送らざるを得ませんでした。

 

そこでまあ、久しぶりに本家MARNIを見直す中年世代も多かろう…、というところに私もはまるわけで。

 

マルニは可愛いけど、文字通り桁違いに高いのですが、どうしても欲しかったのが2000年頃のコレクションで、缶バッジ・ビジューがいっぱいついたレザーの斜め掛けバック。

某yーチューバのおじさんが持ってましたが、缶バッジブームを巻き起こしてたっけ…?

なけなしで買えた破片的?バッジが唯一、20代の私に買えたMARNIで、この冬久々に出してみました。

エンブレムっぽい形状が着る服を選ぶので、実際にはあまり使っていませんが、1万ほどしたなあ・・・。

コンスエロの面影はあるでしょうか…?

 

ついでに久しぶりに本家の、日本で買えるコレクションを見ていたら・・・、最近のマルニは、バックにも「MARNI」とデカデカと書いてあるだけで、かつてのようなプレイフルな精神を全く失っていて、本当にびっくりしました。

やはり、コンスエロあってこそのマルニなのか。

 

…ということで、今の若い世代にマルニコレクションが全然響かないのもわかったような気がしました。

「レトロ」であっても、クリエイティブ度合いがゼロでは…ね。

 

ワタシも老人ぽく、ファッションの夢の時代の90年代を、またもやレトロスペクテブにみる今日この頃。