pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

古井由吉『杳子』

文章を書いていて、うまく感情が表せないな~と思ったとき、昔読んだ小説を読んだりします。
もともと、一度読んだ本はあまり読み返さない人でしたが、この頃はそうでもなく。
参考に、と思ってかえって打ちのめされてしまう(←?)のが、古井由吉の『杳子』。
1970年代の芥川賞受賞作です。
最近の芥川賞ははっきりいてヒドイ(ただの文藝○秋社の新人賞にしか思えん)ですが、昔の作家は成熟度がちがう、と思う一冊。
久しぶりに読んで、また負けてしまいました。

冒頭の文章が高校時代の参考書に載っていて、当時の国語の先生(←たいていは文学青年やね)が「杳子という名前がね~」といっていましたが、その名のとおり、精神を病み気味の女子大生と、ほぼ同年齢の男子学生の恋愛のお話です。

描写が繊細、かつ八方塞がり感。
く、苦しい…。

最近は青臭青春物語は苦手だったりしますが、こういう作品になると「永遠性」のようなものを感じ、魂を抜かれてしまいます~(^^;)。