pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

レイモンド・チャンドラー『リトル・シスター』

 
 
村上春樹訳のマーロウシリーズ3作目。
 
↑村上氏は好きな順に訳しているらしくて、シリーズ的には5作目、前訳『さよなら、愛しい人』とは違い、戦後の作。
『さよなら~』ほどマーロウは滑稽でもなく、『ロング・グッドバイ』ほどハードボイルドではない。
し、最も読みにくかった。
 
どんでん返しが激しくて、一回読んだだけではしんどさだけが残りますが…、2回目読むとなかなかよくできています。
(しかし、ミステリー度半減)
やはり、「女は悪い」のですが、金髪=美女=悪女と単純ではないのがなかなかのもの。
そして、ネタばれズバリ「リトルシスター」が悪女(しかしこれは表の悪女で、裏の悪女ももう一人登場)なのが、ある種リアリスティック。
 
↑マーロウはなぜかはなからみぬいてますが。勘が鋭い探偵が主人公になる描写は、ある意味ツマンナイですね。
 
と同時に、最後作『ロング~』に通じる、哀しい過去話(『さらば~』の過去話はまだちょっと滑稽)もあるんですが…、今回これはちと蛇足というかご都合臭もあり。
 
いつもハリウッドが舞台にもかかわらず、ショービジネスが描かれている作は初めて。
古い映画をみるような味わいがあるのは相変わらずです。
20世紀的アメリカが楽しめます。