pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

レイモンド・チャンドラーをふたつ。

もうずいぶん前になりましたが、レイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』を読みました。
しばらくさぼっていたところ、もうひとつ村上訳で出ていた『さよなら、愛しい人』を読んだついでに、まとめて感想を書いときます(^^;)。

村上氏があとがきに書いていましたが、たしかに『ロング・グッドバイ』のほうが完成度が高く、こちらを先に読んだ後に『さよなら~』をとると、ちと物足りない結果に。
お前が先に『ロング~』を訳すからだろ!と、M氏には突っ込みを入れたいところですが、順序かまわずやってしまうほど、こちらを訳したかったのでしょうねぇ。
ちなみに、『さよなら~』は1940年(なんと、戦前だ)で、もうひとつは1953年。どちらも古い、煮しめた茶色のハリウッド臭(イメージ)がします。

ミステリーの骨組は大まかに似ていて、
,覆爾、街で通りすがりに出会った人物(たいていはダメ男)の、人生のある部分がなすいざこざに巻き込まれてしまい、犯罪のなせる謎に首を突っ込むはめに合う私立探偵マーロウ。
 (探偵として、食っていけるのか…?)
△燭い討ぁ∋温与佑箸靴瞳抻,砲靴腓丹悊れるはめに遭うM。かつ、暴力もふるわれること多々。
,凌擁の身辺を探ると、胡散臭い連中と、大物(暗黒街のボスや富豪)がほぼ同じ割合で出てくる。
と蛤瓩楼譴弔任呂覆ぁ憤豢敍譴任呂いないということ?)が、たいてい最後につながっている。
 ある意味、人間関係が狭い。
ヅ喘罅△覆爾全然関係ない人物も登場する。
Χ眸曳?佑いる(たいてい富豪の妻)。
Х抓韻「タフ」か「タフでない」かは重要。
┠誅世箸靴董⊇?悪い。

とくに┐△燭蝓◆悗気茲覆蕁繊戮任話翦廚△泙蠡減澳兇里覆った訳ありの富豪妻がラストに大逆転、最重要人物にのし上がるのはイマイチ腑に落ちませぬが…、謎が完全に明かされる前に「これは!」と読者にもわかるようになっているあたり、どちらもミステリー小説として大変よくできているな~と思います。

ちなみに、他の登場人物たちをいま少しいらだたせるようなものの言い方をするM氏、村上訳だからかもしれませんが、これまで村上春樹の小説に出てきた人物の原型はこれなのかなぁ、なんて思ったりもします。
「まったく洗濯桶みたいにキュートだ」とか。

『さよなら~』ほうではM氏もそんな感じでいささか人間臭すぎ、ワトソン君的な若くてかわいい助手なんかも出てきたりするので、ある種典型的というか、フツーの探偵もののよう。
一方、『ロング~』ではマーロウは完全な無というか、「何ものでもない」という感じがつよく、よりリアルな描写を楽しめるような気がします。ドライ&ハードで緻密なミステリーがお好きなら、こちらをどおススメ。

個人的に、ときどきなぜかはまる「国境モノ」、こうしたアメリカらしい風景?が楽しめるのも『ロング~』。
あんな(どんな?)ところに立つと、世界地図がひっくり返るような気がするものです。
『地と暴力の国』(『ノーカントリー』の原作)のように、つい主人公(モス)と目立つ敵(シュガー)の攻防に目がいってしまいますが、案外ちゃちなもう一方の敵(メキシコ人)のほうを忘れていて、結局こっちにやられてしまうというWの追走の構図、その描写やトリックの手法をなんとなくほうふつとさせます。こちらが後世ですが(^^;)。

↑しかしまあ、なぜか男くさいものばっかり読んで(観て)いる自分にちょっとウンザリ。