地方紙の文芸コラムで永井龍男が紹介されていたので、読んでみました。
近頃の文章書きはどうも説明臭く、永井に倣え、とのこと。
永井は『黒い御飯』のような、時代がかった、下町人情貧乏臭、という作家のイメージがあったので、ちょっと半信半疑。
ちなみに一説によると、小説家を目指す人が永井龍男を読むと、あまりの名文に自分の文章が書けなくなるとか。
今日的には普通の本屋の店頭には並ばない作家らしく、Amazon買い。
講談社文芸文庫に「冬の日」など短編が収められています。
自伝的なものは「黒い御飯」以下同文。
し・か・し、自伝要素の少ないものは驚くほどモダン。
個人的にはレイモンド・カーヴァーの短編、乾いた、大人たちの情景が好きなのですが、それに近いテイスト。
(↑プロの作家をほかの作家に例えるのはいい批評表現でないと思いますが…)
だいたいは昭和40年代の執筆ですが、無駄のない、凛とした、人の心の機微のみえる作品(「冬の日」「蜜柑」「杉林そのほか」)、どこかシュールな作品(「青梅雨」)など、発見が多かったデス。