pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

オールスター・ガラ2016

7月は予定外に奈良に行くなど、意外に動いたので、7月の連休は大人しく過ごすつもりでいましたが…。
世間の連休とずれたお休みですから、大人しくすると充実感がない。
ので、東京行く~?でもイベントないと…と検索したら。

1週間前でしたが、オールスター・ガラのチケットがあることがわかる。
全くノーマークだったのですが、よくみると…

フェリが出る!

「女優」といわれた、ロイヤルとABTの大スター。
遅れてきた?バレエファンの私はついに実見することがなく、だいぶ前に引退してなかったっけ…?
と思ったら、2年ほど前にノイマイヤーで復帰したそう。

昨年ギエム姐さんが50歳で引退、確か姐さんより年上でなかったけ…。
確信的プロのギエムとはタイプが違うし、10年近いブランクのある人が、今、何をみせてくれるのだろう…ということと、結構チケットが高いこと、1週間前に空席があるということはどういう意味?など、ずいぶん迷いましたが。

50歳を過ぎた森下洋子のオディットをみたことがあるし、ベルメストロワ様みたいな例もあるし…。
でも、2001年ころに張り切って、伝説のプリマ・プリセツカヤ様70代の姿を見に行ったら、思いの他踊ってくれなかった(舞台には立っておられた)失敗もあるし…

とぐずぐずしましたが、ぴあでA席の1階席が取れたので(※バレエは2階以上でみるのはしんどいです。あくまでもグラス無しでみる派)、後悔するよりは!とのことで、行ってみました。

ちなみに、他の出演者も超豪華、ボリショイとABTの大スター・アナニアシヴィリ、今もベテランながらマリインスキーのプリマ・ロパートキナ、ボリショイの大スター・ザハーロワが来るとのこと。
(ABTのジリアン・マーフィーもいるけど、ちょっとノーマーク)
「オールスター・ガラ」が「オールドスター・ガラ」に化けるか、ハラハラでしたが…。

結果、行ってよかったなー。

2幕構成で、2部はどちらかというとみんな軽めにやったかな、という感じですが、それぞれのプリマの持ち味が出てて、それなりにしっかり踊ってくれました。

フェリに関しては、やはり全幕を観てみたかった人だな~と。
ショートプログラムではちょっと、私には評価しにくいです。
2部の『ル・パルク』自体が全幕をみたことがなかったので残念なのと、あと衣装がちょっぴり身体のラインを隠すようなダボシャツだったので、表現力が十分に観られなかった。

アナニアシヴィリについては、現役時代、かろうじてABTの『メリー・ウィドウ』(※曜日の関係で…)と、ボリショイのウヴァーロフと組んだ『白鳥の湖ハイライト』でみたことがあるのですが、何というか、あの時と印象はあんまり変わらない。
なんというか、ボリショイ的「ハッ!」というような表現をする方なので、第一線を退いてそれなりにテクニックが衰えてもそこだけが変わらない…という感じ。
つまり、私の好きな表現力が薄いというか。
グルジア愛あふれる「レクリ」が男装のソロということでそれなりに楽しみにしていたんだけど、ギエムのような、ダンスを追及した深みがなくて、大スターであること以外に存在理由がなく、サービス精神あふれる「オールドスター」という感じにしかみえなかった。
そういう意味では、かつてみた70代のプリ様の舞台姿をみたときと同じような印象。

一緒に来たゴメスは、2幕目のローズアダージョ(※パートナーはABTの売り出し中と交代)をみて、ただ支えに来たのか~と思ったけど、ちょっとは見せ場を作っていました。
まあ、女性スター押しのガラですが、やっぱり男女バランスはとってほしいよ。

一部古典を踊らなかったことに非難のあるロパートキナですが、私はあれで満足です。
やはり、いいダンサーだよなぁ。
2000年に観ているから、それから16年経っているわけだけど、変わらず第1線にいるのがすごい。
し、存在感がいいなぁ。
俄然、ヴィシニョーワより好きです。

そしてザハロワ。
ザハ様も、今回初見。

ところで、ジゼルは先日のロイヤルでも観、その盛り上がりつでに、オペラ座レティシア・ピジョルを観たばかりだったので、何というか、全然違う話にみえてびっくりしました。
全幕をみた2人のジゼルは、表情がスゴイの。
特に、ピジョルもこれまでのジゼル観を覆すような2幕の無表情っぷりがスゴイ。
だから、この二人の場合は悲恋のストーリーという意味がひしひしとわかって、それまでの白鳥以上に都合のいい女=ジゼルが嫌いだった私の眼からウロコをとってくれたんだけど、今回観たザハ様のジゼルは、なるほど、今まで観てきたとおりのジゼル=無償の愛っぽいタイプでした。

あ、ザハ様そのものはよかったんだけど。
なんていうか、たぶんロシアバレエの振付がいまいち好きじゃないのかもね。
手の動きがものすごく優雅で、改めて長身を生かしたザハ様の表現力というものをしみじみ感じました。
フェアリー感がスゴイの。
ただ、リフトの開脚が開き過ぎで180度どころか200度くらいになるのは、柔らかすぎるのか、でもちょっと却って下品にみえるから180度までで止めたほうがいいな~と思う。

ジリアン・マーフィーは最初ちょっとジュリー・ケントと間違えていた節があるのですが、この中では一番若い現役プリマでした。
一部の演目は『リーズの結婚』で、これも全幕をみたことがないから今一つですが、アシュトンらしい朗らかな感じがとてもあっていて、マチアス・エイマンとともに、カップルとしては一番見ていてバランスの良い仕上がりになっていました。

というわけで。
数年前に観たエトワール・ガラ以来、スター・ガラにいまひとつ期待感のなかった私には十分みごたえがあり、楽しかったです。