pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

ピーター・ライト版『ジゼル』

今年のロイヤル・バレエ来日公演はヌニェスが観たい!と思っていましたが、どうにもお休みとあわず、ずいぶんグズグズしていました( ´Д`)y━・~~。

しかし、イベントがないのもツマラナイので、迷った結果、ローレン・カスバートソンの『ジゼル』を観ることに。

ジゼルも今さら、あんまり燃える舞台でもないし、未見ながら、ロイヤルの英国人プリンシパルという色眼鏡があって(外国人スターが多いという劇団なので)、どうも乗り気でなかったのですが。

なんのその。結果、おもしろかったです。

よくよく考えれば、じつは実見した『ジゼル』は、ボリショイだけ。アルブレヒトはニコライ・ツィスカリーゼでしたが、思うに、たぶんワシリーエフがブイ飛ばしていた(グリゴロ氏まで干すくらいに)頃のステージなので、過渡期だったのか。
やはり、もっさりロシアより、ロイヤルの美術は洗練されているな~と。
なんというか、ロシアのカンパニーは色彩がダサいのよ。

『ジゼル』は、『白鳥』よりさらに「男に都合のいい女」感があって、せいぜい20世紀までの演目だな、と思っていたのですか、ライト版版脚本かスッキリ整理されているのか、それなりにジゼルの気持ちもアルブレヒトの気持ちも、許容することができました(;´Д`A。

ライト版は初めて観たわけですか、他と違うのは、バチルドがただの背景的人物ではなく、嫌味なほど気位の高いことが明示されているところでしょうか。こんなに能弁な姿は、観たことはありません。

おかげで、貴族と農民という、どうしようもない断絶がくっきりわかりました。
なんというか、イギリス的演劇の伝統かしら。

そして、ジゼル&ロイス(アルブレヒトの偽名)のカップルがかわいい。
音楽も、今までそう思ったことはなかったんだけど、初恋の初々しさと、狂乱の場面での回顧との関連性がすごくつながるなぁ、と。
カスバードトソンも、アルブレヒト役のボネッリも、テクニック的に、『ジゼル』にある叙情性をこなすに充分なキャストだったと思います。

あと、ライト版で特徴できだと思ったのは、特に1幕のマイムが長い。
今までみたものでは、お母さんか「あんたは身体が弱いんだから、あんまりはしゃぐんじゃないよ」というくらいだったのに、ウィリの伝説を長々語っていたらしい(後でプログラムを買ったので、初めはよくわからなかった)。

そして、狂乱の場面も長。
自殺したときうのは、初めてきいた解釈なので、これも観ていたときはわかりませんでしたが、ロイスとの描写(すれ違い)が効果的。

カタログを読むと、ピーター・ライトのインタビューが載っているのでよくわかったのですが、シームレスなストーリー展開になるよう、いろいろ工夫されているようで、だからなるほど、これまで以上に「アルブレヒトのヘタレ物語」と思わなかったのか( ´Д`)y━・~~。

それにしても、ヒラリオン役の人があまりにもマンマだったので、他の人でも踊れるキャラなのか、ちょっと想像しがたい( ´Д`)y━・~~。

ボネッリ氏は王子役としていうことなし、また上記の内面描写も踊りでうまく表現していたので、とても満足。
個人的に、もともと2幕のアルブレヒトがジゼルのお墓詣りにくる登場シーンがものすごく好きなんですが、今回はあまりにも感極まって、泣きそうになりました(;´Д`A。

残念だったのが、2幕のウィリたち。
そしてミルタが…。

日本人の小林ひかるさんですが…、女王としての存在感が薄いよ。ピシッとした感がなくて、あんまり怖くありません。
ウィリたちも、やたら足音が気になり、幽霊なんだから、そこんとこ、よろしくお願いしますよ。

と、不満ぶうぶう思っていると、時折現われるジゼル&アルブレヒトカップルが上手すぎて異次元。
これまた、『バヤデール』のニキヤ&ガムザッティのように、同格の力量で対峙してもらわないと、2幕は面白くないなあ、としみじみ思いました(;´Д`A。