pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

ボリショイ『ラ・バヤデール』

イメージ 1

 
昔はロシアでは「バヤデルカ」だったように思いますが、今では「ラ・バヤデール(踊り子)」に統一された模様。
このところの盛り上がりで、ついでに「第3」の版・ボリショイによるグリゴローヴィチ版(逆か…)を鑑賞。
それにしても、「ラ・バヤデール」自体は前世紀的というか、あまり面白くないシナリオなので、3本続けてみると序盤がちょいとしんどい…。

さて。
ボリショイを代表するプリマ・ザハロワ主演、ガムザッティはマリヤ・アレクサンドロヴァ、ソロルはウラジミール・ランラートフ。後半二人は、先日のボリショイ公演でみたキャストですな。
ヴェテランの域に達した看板スター・ザハロワ以外は、スターのキャスティングがしがたいというのがボリショイの今のさびしいところ。
なんというか、DVD化して永遠化(=映像化)する価値があるのかなぁ、という感じ。
ランラートフはまだ若いし、悪くないんだけど、あまり往時のボリショイダンサーらしい猛々しさがなく、どっちかというとマリインスキー向きの優美さ。
アレクサンドロヴァはザハロワとほぼ同年代で、確かに群舞より群を抜いてうまいんだけど、華という点ではザハロワの双璧になり難い。

グリゴロ版は思ったほどグリゴロ節全開ではなくて、ほぼプティパの原型を守り、大方のロシア版と同じ。
現代の振付をたくさんみた後では、「ラ・バヤデール」は実にマイムが多いなぁ、と思うのですが、マイムも案外そのままイキで。
グロゴロ版は、2場のガムザッティの部屋に呼ばれたニキヤともみあいになるシーンをはじめ、わりと流れが唐突なことが多く、極めつけは2幕の婚約式のニキヤ登場のシーン。
他の版では悲しみの踊りが胸を突くのに、ここではあまり踊らず突然花籠の毒蛇にかまれる。
あまりの短さに、なにが起こったかわからずしばし呆然。
↑ここの印象は、先日の『白鳥』と同じ感じ。
大僧正とのからみも短く、やたら顔をそむけるガムザッティが犯人なのか、よくわからず。
そして、ソロルがもっとも意味不明。
私がニキヤだったら、悲しみではなくて、「こんな男のせいで私は死ぬのか!」と、状況に憤死だわな。

ガムザッティですが、ここではこれまで観た3本のDVDのなかでもっとも天真爛漫なお嬢さんにみえました。
というか、アレクサンドロヴァはあまりお嬢さんぽくないんだけど、先日の怖いオディットとは別の明るいキャラに。
たしかに、キトリとか踊れそうな感じ。
ただ、圧倒的な美貌というのが感じられないので、政略結婚以外の動機がソロルから読みがたいですが。
(でも、ランラートフは案外普通に受け入れている)
だれが、というわけではないけれど、ガムザッティは太陽、ニキヤは月のような存在だと思うので、ガムザッティのイメージカラーは黄色(もしくは金)にしてほしいのだが、初登場の衣装は白で、ニキヤとかぶる。
そして、婚約式ではよりによって淡ピンク。
アレクサンドロヴァは「泉ピン子」的なので、私にはシャレにならんよ…。

ちょっと釣りあいが取れない分、ザハロワは霊的な存在になった3幕が一番よくみえます。
(踊り子の衣装は、やせ過ぎであまり…)
たしかに、ちょっと体力の限界なのか、ラストの見せ場では足がもたついてましたが。

そして、通常のロシア版ではストーリーのわりに3幕の楽天っぷりに違和感を覚えるのですが、ここは白鳥と同じくグリゴロ氏のアンハッピー好きがでるようで、二人は結ばれることなく、ソロルだけが夢から覚めて現実に取り残されるという図で終わり。

む~。
やはり、ビデオのロイヤル・マカロワ版を観るべきか。