pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

ノイマイヤー『真夏の夜の夢』

舞台不足で、ややしぶしぶ、ノイマイヤーのチケットを買いました。
本当はどうせなら新作をみたかったけど、休みの関係で『真夏の夜の夢』をみることに。

『人魚姫』以来のノイマイヤーですが、クラシック再振付は『眠り』をみたことがあり、しかしこちらは、いかんせん、古い(初期のノイマイヤー)なのであんまり印象がなく、同じくらい古い(初期の)『真夏~』も期待度が低かった。
し、そもそも『真夏~』はクラシックでも個人的にあまりなじみがない(しかも、これまでモンテカルロのマイヨー版しかみた記憶がない)ので、二の足ふみふみ。
曜日の関係で、『リリオム』でずっとでずっぱだった、ゲストのアリーナ・コジョカルと、カーステン・ユングのキャスティングを買う。
コジョカルは、かつて「ロイヤルで一番見たいプリマ」といわれていたけれど、1回観たときはそんなに…という印象があったのですが。

どうにもストーリーが前提に入らないので、めずらしく、一番初めにプログラムを買って予習してから望む。
結果、これが良かったです。

あとからわかったことだけど、ノイマイヤー版がそうなのか、『真夏』は主役が、主役群、というように、複数のペア(あるいは団体)が並行して立っている、それぞれの関係性をよく理解していたほうが、すんなり観ることができる構成になっていました。

最初、ものすごい長いトレーンを付けたコジョカルが登場。
コジョカルは、以前『ロミオとジュリエット』でみたときにはまんまジュリエットでつまんなかった印象があったのですが、この日は全然違って、マリッジ・ブルーに沈むちょっぴり大人のヒッポリータ、という感じで、びっくり。
そしてはっとしたことに、この登場シーンで、トレーンが、結婚にまつわる女性の「重荷」を象徴しているな~、と。

ヒッポリータとシーシアスの婚礼の準備は、ごくフツーにクラシック、で、なんだかんだ、初期のノイマイヤーはクランコの弟子、物語バレエか、と思ったら…。

妖精の国で一変。
いきなりスペーシーに。

近未来な妖精の国は、一見、うっすら憶えているマイヨー版と似ているけれど、ノイマイヤーの場合、人間の世界とは時間の流れが違う妖精時間を音楽と振りできれいに分けていて、ときどきばかばかしさに笑える職人たちの一行、人間(シーシアスたち)の時間の交差が絶妙に一体化していて、当初のテンションの低さが一転、俄然面白かったです。

そして、コジョカルの妖精の女王っぷり、ユングのオベロンぷりがものすごいいい(ちょっぴり、リフトはしんどそうでしたが)。
パックも、典礼長だ!、と思いつつ、その悪戯っぷりがカワイイ。
…いや~、コジョカルって、かわいいだけじゃなかったんですね。スミマセン。
それにしても、この舞台ではヒッポリータとタイターニアの全然違う二役をやっているので、この短い日本公演のあいだに、『リリオム』をあわせて3役やっているわけで…、大変ですね。

なぜ、シーシアスの態度が変わったのか、そこがちょっぴりわからなかったけど、最後は円満に終わり。
1幕では、妖精の世界(真夏の夜)がヒッポリータの夢のようにみえ、一方、ラストでは、人間たちの世界こそがタイターニアのみていた夢の世界、のような収束のしかたで、いやいや、よくできています。

ちなみに、客席でノイマイヤー本人をみかけましたが、最後はやはり舞台あいさつに上ってました。
そんなものなんですね(笑)

なにわともあれ、ブラボーでした。