明日KAPITALの福箱予約開始、とのことで、更新の滞っている本ブログのアクセス数もなかなかのUP。
本人は、久しぶりに買おうかな~どうしようかな~、と迷い中。
今日が発売日だったらよかったのに。
さて。
今季最大(いつも)の寒気が来るそうで、外は大荒れ。古傷の肩(首)が痛む今日この頃。
引きこもりシーズン到来です。
そんなわけ?で、一年間ほおっておいたノイマイヤーの『ヴェニスに死す』DVDを観ました。
昨年のどこかの劇場で、ちょっとだけバーゲンで買いました。
そもそも『ヴェニス~』自体が文学好きが好きそうな題材ですが。
いやはや。
結論からいって、やっぱりノイマイヤーはスバラシイ。
古典再解釈のノイマイヤーもよいですが、やはりオリジナルのもいいですね。
題材自体は、20世紀以前の、現代からみたらやはり古典(アンデルセンとか、トマス・マンとか)なんですけど、先日みたベジャールがなんとなく20世紀の古典になりつつあるな~、と思う一方で、ノイマイヤーはコンテンポラリーなクラシック・バレエだなぁ、としみじみ。
主人公アッシェンバッハは、ここでは文学者ではなく振付家。
まあ、バレエ振付家の作では常套手段ですね(笑)。
ロイド・リギンスは実見できなかった(引退してるかな?)ダンサーですが、苦悩に満ちた大芸術家をセンシュアルに表現しています。
そして、ダジオ役のダンサーと、ちょうどいい年齢差。
2004年の収録ですが、ほぼ二十歳を過ぎたばかりのダンサー(エドヴィン・レヴァゾフ)はまさにそのために配薬されたような紅顔ぷり。
リギンスは35歳くらいで、まあ若いといえば若いけど、中年の哀しみ、みたいのが『ヴェニス~』のひとつのテーマでもあって、そのへんの心情をすごくよく表現しています。
そしてハンブルグというカンパニーは、ほんとうに配役に適したダンサーがいるな~、としみじみ。
どこか怪しげな二人の男、似ているのは服装のせいかなぁ、双子みたい、と思ったら、ほんとうに双子のブベニチェク兄弟だった。この人たちも、もう引退したのかな…。
ノイマイヤーの『ヴェニス~』は、わりと主人公の内面的な描写としてダンサーたちが踊るシーンが多いのですが、この双子、とにかくたくさんの役を二人で引き受けていて、主人公に寄り添う不気味な運命の影、みたいなのを象徴しているみたい。
双子だから不気味さ倍増だし…、やはり、この双子あってこその振付なんじゃないかしら…。
ノイマイヤーはインタビューでいっているように、原作自体が女性不在の物語なので、この舞台の女性で中心的役はいないのだけれど、キー的存在のアシスタント/母/ダッジオの母(これも一人複数役)は別として、抽象的(主人公の内面描写としての存在)な役として登場するのが、シルヴィア・アッツォーニ。
この人は『人魚姫』で実見したことがあるけれど、やはりスバラシイ。
ノイマイヤー的抒情的な情感をよく表現できるダンサーですね。
トマス・マンの原作も、ヴィスコンティの映画も、本当のところ面白いかは不明ですが、ノイマイヤーの『ヴェニス~』はそれらにも似ているようにも思うし、また全然違って、やはり独自の世界観があるようにも思われます。
うまくいえませんが、人生の刹那な美しさ、がわかります。
ちなみに、この2004年の収録には服部さんも出ていました。
なつかしいなぁ。