pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

再びの『オネーギン』

昨夏に、ガラコンで有名な?「鏡のパドゥドゥ」をみて、その不思議さに『オネーギン』みたいなぁ、と久しぶりに思ったのですが、この演目にDVDがないことが判明。

このブログの初期のころに1度全幕をみた記事がありますが…、当時はオネーギン役のダンサーがどうも凡庸で、あんまりいい印象がなく、また、ほとんど記憶にありませんでした。

と、夏にシュッツトガルトが久々に来日することが判明。
これまたDVDでみることができないクランコ版のロミ&ジュリ(これも10年以上前にマラーホフでみた以来)と選択を迷いましたが、休みのシフトの関係と、みるならフリーデマン・フォーゲル!…ということで、大阪公演(西宮)へ行ってきました。

前回も「みるならフォーゲル!」だったんですが、当時彼が演じたのはレンスキーのほう。
陰気なオネーギンに比べ、ただただあっかるーいカップル、という印象が残っていて、あれから7年、どちらかというと爽やかが似合うフォーゲル君が、どう、いやな奴=オネーギン(お葱)を演じてくれるのか、すごくドキドキ。

あとから知ったことですが、フォーゲルのベストパートナーは東京公演のほうだったらしいですが、これは後付けで、大阪公演のカップルもそれはそれでよかったです。

そして、全然覚えていなかった『オネーギン』も…、なんとまあ、印象刷新。

「都会派」「倦んでる」「青二才」オネーギン、感情移入、とはまで言わなくても、すごく実感が伝わってきました。
なんというか、役の実在感がしっかりしている。

なので、このドラマが、今回はちゃんとドラマとしてみることができたから、スゴイ。
いや~、フォーゲル君はただ爽やかくんではなかったのね。
(逆に、今回のレンスキーはただのイモっ子にみえたけど…、これはこれで原作の意図に近いのかなぁ)

友人と盛り上がったことに、なぜお葱もといオネーギンを演じたがるか、よくわかった舞台でした。
ヌレエフ型振付は別に、男性ダンサーを主役にここまで感情表現をさせる演目は、バレエにはあまりありませんものね(白鳥は、どんなに頑張っても「男って、馬鹿だなぁ」くらいにしか思えない)。
唯一生粋のシュトットガルト人?といわれるフォーゲル君、ちゃんとクランコの正統を身につけているようでスバラシイ。

久々に「文学バレエ」、面白かったなぁ、と思う舞台でした。