pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

プロコフィエフと「シンデレラ」

明けましておめでとうございます。
去年の総括と今年の抱負をブログで書いてみようと思い、はや3日。
機を逃したので割愛いたします(←いい加減…)。

お正月は槍が降ろうと4日初日が絶対の職場なので、シフトの関係で今日がお休み最終日。
いつもながら何もしなかったので、やっつけDVD鑑賞。
バレエのDVDはamazonより店舗で探す方が面白いモノがみつかるんですが、年末に久しぶりにHPを覗くと新しい物も入荷しており、2007年公演のパリオペラ座・ヌレエフ版「シンデレラ」を買ってみました。

バレエ音楽としては有名なチャイコフスキーよりプロコフィエフの方が劇的で、個人的には好み。
「シンデレラ」も、少し暗いような時代のムード感(戦後まもなくの気分をしょっているらしいですが)、運命的なフレーズが好きな音楽なのに…、これまで振付でよいと思ったものに出会ったことが無い演目。
コレオグラファーではなく「シンデレラ」自体の問題か…?

最近のオペラ座はすっかりポスト・ヌレエフ世代になったとの事なのに珍しいな~、と思ったのが運命の分かれ道?
いままで、ヌレエフはダンサーとしてだけでなく振付家としてもいいなぁ…と思っていたのでつい買ってしまったのだけれど、DVDが届いた瞬間、しまった~という気持ちになりました。
というのも、ヌレエフ版の「シンデレラ」は時代設定が思い切り変わっていて、「シンデレラはハリウッドスター志望?!」というへんちくりんなキャッチに以前もひいてしまったことがあるのに、すっかり忘れてしまっていたのです(T\T)。

と、いうわけで、ヌレエフ版の「シンデレラ」の舞台はアメリカ。魔法使いのおばあさんはプロデューサ役でウィルフリード・ロモリ(この人が一番キャラが立っていた)。キングコングなんかも出てきます。セットがアールデコ調(ただし、設定は1930年代らしい)で、以前キーロフの公演でみたラトマンスキー版もこのヌレエフ版が基調になっていたのかな~と今回思いましたが、どうなんでしょう?

アシュトン版では「醜いお姉さんたち」を男性ダンサー(アシュトン、マクミランが演じているDVDをみたことがある)が演じますが、ラトマンスキー版やヌレエフ版はお母さんが男性、お姉さん達は女性。
えげつない役なので、女性ダンサーはつらかろう…と思ったら、その内一人がエトワールのレテシア・プジョル。ときどき日本のオペラ座公演で踊る人ですが…、う~ん、もし実見する機会が次回あるなら、ちゃんとお姫様にみえるのだろうか…。すごく、キャラがあっています。

シンデレラはアニエス・ルテュス、王子(スター役)はホセ・マルティネズ。美男美女カップルですが、以前実見した時もそう思ったのですが…、なんだが容姿端麗の割には感動のないエトワールたち。
最近のオペラ座はスター不在、全体としての層の厚さを感じるのですが、それともまた違う感じ。
う~ん、何なんだろう。
「シンデレラ」自体が、お姉さん達をはじめ、コミカルに出来ているからなんでしょうか…?
今のオペラ座でやるには「シンデレラ」はむいていないような気も。やはり、ロシアの演目はロシア人向き?

舞台設定の思い切りの良さのため、振り返って考えれば面白かったような気がするものの、当時は不満だったラトマンスキー版。しかしそれ以上によく解らなかったのが、ヌレエフ版の王子のシンデレラ捜索劇。
キャラクターダンスとしてスペイン、中国、チャルダーシュを入れるのは19世紀ロシアバレエ的名残なのか…、でもなんで、そんな場末に想い人を探しに行くのか、私には理解できません。
マルティネズも王子顔で衣装も王子なのに、チンピラの首領のようにシンデレラを捜しています。
…ありえん。

同じプロコフィエフの音楽でもロミ&ジュリのほうは面白いと思う振付に多く出会うのに…。
ヌレエフは自身が優れた男性ダンサーだったので、それまでの女性優位のバレエ界に新風を吹き込んだ振付をおこなったはずなんですがねぇ。
やはり「シンデレラ」自体の問題?誰か(※振付家に限る)解決して~。