1年も前に白鳥を再考?して、パリ・オペラ座のマルティネズ&ルテステュによるヌレエフ版を観たときのこと。
カール・パケット演じる家庭教師&ロットバルトに魂を抜かれたことはブログにも書きましたが、ヌレエフ版でこんなに家庭教師の存在感があったっけ?と思い、古いヌレエフ版DVDを、今日、ようやく再見しました。
遅。
1966年、何と今年50周年になる古い映像。
観なおすのは3度目ですが、やはり名盤。
「奇跡のパートナーシップ」といわれたヌレエフとマーゴ・フォンテーンがウィーン・バレエのゲストとして踊っているテレビ用収録版。
当時ヌレエフは20代、マーゴは40代後半。
登場時は何といってもヌレエフの濃いメイクに衝撃ですが、それはさておいて、やっぱりヌレエフの繊細な表現はスバラシイ。
大人・パリ娘のルテステュやピエトラ姐さんとは違い、フォンテーンのオデットは、初期の私のデフォルト・イメージどおり、可憐。
オディールは妖艶とか、男なら惚れる、とかいう感じではなく、女性の二面性、ということもなく、ちょっとオディットよりは元気な娘だな~、という感じで、キャラクターがたってるオディールを見慣れた後には物足りないかもしれませんが、とにかく、ヌレエフとのコンビネーションが文句のつけようがない。
なんというか、ドラマ性よりハーモニーというか、バレエの純粋芸術のような感じ。
そして、今のウィーン・バレエ団は東欧的もっさり感があって今一つですが、当時は、何というか、古い良さをそのまま持っていた良さ、みたいものがあって、舞台芸術としては全体的に成熟した感じがよいです。
さて。
問題の家庭教師ですが。
やはり思ったとおり、あまりキーマンではありませんでした。
確かに、1幕でジークフリートを夜の狩りへと唆すシーンはありますが、ふつうに(親身に)気晴らしを進めている程度にみえました。
…ヌレエフ版でも、新旧があるのかしら。
あらためてみると、すべて穏やかな統一感のある悲劇、という感じで、現在の色々な版に比べ、あまりドラマスティックではなく、ハラハラ・ドキドキはしないけど…、名盤です。(繰り返し)
また白鳥ハンティングをしたくなった今日この頃。