pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

押忍!手芸倶楽部_その2

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7月には奈良へ行けるかな〜、と思っていましたが、引き続き、コロナが盛り上がってかました。


なので、ぼちぼちバケーションシーズンですが、相変わらずひきこもり。

手芸活動再開です。


コロナ以前の話ですが、冬に本屋で藤田久美子さんという方のパッチワーク 本「日本のカタチ」を買いました。

パッチワーク にありがちなファンシーさは皆無な、基本、パターン集です。


なので、着地点を定めてから作ろう、と思いつつ、何軒かある手芸屋さんのハギレワゴンのハンティングを続けていました。

普通に採取すると、パッチワーク は結構お金がかかりますものね。


いくつか組み合わせのできるストックが集まったものの、バッグの裏表でデザインを選ぶのが意外と難儀で停滞。

実際に本を読んでみてもらえばわかるのですが、結構頓智?のきいたデザインなので、組み合わせも意味が重要なのです。


最近、金色の生地が激安で手に入ったので、組み合わせが決まり、連休に乗じて小さなバッグが完成。

デザイナーのいうとおり、金色が効いてますネ。


お稲荷、ということで、うらは提灯でまとめました。


もう何年も浴衣なぞきてませんが、平時なら夏祭りの娘さんが持つとカワイイだろーなー、と思います。

押忍!手芸倶楽部

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押忍!手芸部というアーティストがいるのですが。


さて。


手芸をしないわけではないのですが、年齢とともに不精になり。


しかし、なぜか時々ブームがおとずれ、かつ、今年はクールなパッチワーク 本を買ったこともあり、年始から手芸屋さんの安いハギレをハンティングしてため込んでいました。


で、今年のコロナ騒動


店頭からマスクが消えたとき、世の中に不織布が登場して以来の使い捨てマスク派でしたが、家にある不要布で自分サイズの布マスクをつくりはじめ。


かつ、「とにかく手に入らない」ことが世間にもいい言い訳?となり、かなり自由なマスクをしていてもオーライな雰囲気の中、せっせと着替え・休日用の分までマスクをつくったことをきっかけに、エコバッグを不要布で作ったりと、とにかく「お金をかけない」手芸がマイブームに。


手作り好き、というよりはモノグサ寄りの布好きなのです。笑


このようなコロナ規制以来、市外すらなかなか出ない日が続きましたが、久しぶりに小出掛けしたとき、近くのD&D departmentでとってもお買い得な布を発見。


店員さんによると、桐生の織り見本のデッドストック(D&D的にはLifeストックというプロジェクトらしい)だそうで、近所の手芸屋さんではとてもみられないような珍しい織が、えらいぎょうさんありまして( ・∇・)。


いろいろ欲しかったけど、自分のところであてもなくまたデッドストックになるのもいやなので、ぱっと見ゴブラン織ぽいのだけを買いました。


トートなら使うかも、と思いつつ、形がかわいくてかつ作りやすい、というのがなかなかなく、D&Dのサイトをみていると急にメッセンジャーバックがいいなあ…、と思い、がんばりました。


マスクにいいかな〜、と思って買ってきたシーチングのハギレなど裏地にサイズがちょうどあい、今年ならではの成果。


冬むきな生地なので、コートに合わせたいなあ、と思っています。

1991年版『バヤデール』

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ビデオで見て以来、長年鑑賞がかなわなかった、1991年上演のマカロワ版『ラ・バヤデール』。


中古のDVDが安く手にはいったので、ようやく再見が叶いました。


結論から言って、映像記録のあるバヤデールでは名盤。


配役は今や再現不可能なゴージャス・メンバー。

ニキヤ役のアシィルムラートワは、現役時代を全く知りませんが、マリインスキーのプリンシパル

エキゾチックなバヤデールを、厳かに演じつつ、完璧なテクニックを披露してくださいます。

今までみたかなでもっともニキヤっぽい。


ソロルはおなじみムハメドフ。

これまた完璧なボリショイ・プリンシパル出身で、ロイヤルへ移籍してもそのテクニックは健在。

(ただし、グリゴローヴィチの振付にみられた変態性が薄まってて、ちと控えめな印象)


そして、意外と高僧役のアンソニー・ダウエルがいい感じ。

まだまだ色気がある(昔のプリンスです)し、横恋慕しているダメ坊主っぷりもいい。


あらためてみると、マカロワ版の展開はテンポが早くって、演技も無駄がなく(説明臭いという見方もできるけど)サクサクみられるのよね。


そして、ガムザッティがダーシー・バッセル様。

マリインスキーのバヤデールでは中途半端な出番しかないガムザッティも、マカロワ版では最後まで見せ場がある、プリンシパルにふさわしい役ですね。


ちなみに、キャラクターダンスとして有名なブロンズ・アイドルは、20歳そこそこの熊川哲也氏が踊ってます。

久しぶりにみると、あられもないくらい金ピカで、ほぼ原型?不詳。(笑)


映像の編集も、キーの人物を丁寧に追ったカタチになっており、すべての因果関係(誰がニキヤを殺したか、とか)も、すべて視線で追えるようになっています。

なので、高僧から渡された解毒剤を手にしつつ、ニキヤがみたのはガムザッティの手をとって去ろうとしたソロル、というのがニキヤ視線で見ることができ、あ〜あ、という感じがまざまざとわかります。(笑)


それにしても、今回はむしろ第二幕の「影の王国」の必要性が今ひとつわからない結果に。


失意(とはいえ、自業自得)の中、阿片を吸ったソロルの幻影というか願望?、というのはわかるけど、1幕、3幕のドラマの緊張感に比べ、なんとも間延びしてるのよね。


この「影の王国」は、ジゼルの第二幕に似ているのだけれど、ジゼルは必然として、これはなんで必要なのかな…。

ロイヤルのコールドは、当時もいまも、パッとしないし、なあ。


しかし、今回思ったのは、ソロルとニキヤを結ぶ白いベール。


これは二人の永遠の愛の象徴、というふうにいわれているけど…、ドラマチックな三幕を観た後では、ソロルをあの世へ呼び込んだニキヤの執念(恨み)のように…みえました。


…怖い。



グリゴロヴィチ版『ロミオ&ジュリエット』

グリゴロ盛り上がりついでに、ムハメドフ&ベスメルトノワペアのロミ&ジュリを再見しました。


あらためて、ダンス・ダンス・ダンス

ドラマチックなよさがあるクランコ版、マクミラン版もいいと思ったけど、案外、ロミジュリはグリゴローヴィチの振付が今は一番実見したいなぁ。


しかし、今から考えれば、この映像はスター揃いなので…、いまのボリショイでは再演は可能なのかしら。


それにしても残念なのは、ティボルトの髪型。

なんで…、よりによってマレットヘアなのか⁈


80年代らしいといえばそうなんだけど、クラシックダンサーならもう少しちゃんとして欲しかった。

お前はG.I.オレンジか(笑)


これさえなければ、永久版だったのに…な。


関係ないけど、90年代半ばのイタリア南部では、マレットヘアをよくみかけました。

ロベルト・バッジョのせいなのか知りませんが、ティボルトもイタリア人だけど…、モンダーギュのご当主や貴族たちがみんなイタリア・ルネサンス絵画ばりのスタイリングなのだから、そこはあわせてよ。




ヴァシリーエフの『スパルタクス』なと

STAYHOMEの日々ですね。

 

久しぶりにブログをみたら、「スパルタクス」の記事が検索上位に出てきてました。

2020年冬公演(あるのかな?)のおかげですかね。

 

数年前に盛り上がった『スパルタクス』鑑賞ですが、どうも一番古い&グリゴローヴィチオリジナルキャスト(だったと思う)のヴァシリーエフ主演版の記事がなかったので、すっかり忘れてしまっていたこともあり、みてみました。

 

1977年の映像で、たぶんスタジオ撮り。

古いソヴィエト時代の映像らしく、編集が激しい。まさにボルシェビキちっく。

編集のせいか、少々短めです。

 

スパルタクスがヴァシリーエフ、フリーギアが奥さんかと思ったらベスメルトノワ。

クラッススがリエパです。

 

ヴァシリーエフのスパルタクスは、ムハメドフほど変態っぽくなく、ちょうど等身大に「スパルタクス」な感じ。

リエパに期待してたんですが、メイクのせいか、今見ると変態ぽいです。

 

今まであまり期待したことなかったんだけど、久しぶりに見るとエギナいいなあ。

クラッススがややサイボーグですが、あらためてみると、スパ&フリーよりクラ&エギナのカップルのほうがペアの踊りにみどころ多いね。

前者が平和なカップル、あるいは哀愁のペアでしかないのに比べ、ギラギラ感がエキサイト要素なのかしら。愛人間の駆け引き感が半端ないです。

 

思うところはもっといろいろあったような気がするのだけど、そのあと勢いに乗って続けてアコスタ主演版をみてしまったので、印象が薄くなり…。

 

アコスタ版は前回割とピンと来なかったけど、基準的な『スパルタクス』をみた後では、基本を理解した後になるせいか、案外楽しめました。

 

まず、BDなので音が断然いい。

ハチャトリアンの組曲が、プロコフィエフ同様、バレエ音楽の特性なのかもしれないけれど、繰り返しのフレーズのバリエーションで演出されているのが面白いなぁ、と思いました。

 

アコスタさんは、今回思ったけど、グリゴロ様式の変態的足の動きが身についていないので、ちょっとものたりなかったのだなぁ。

グリゴロの振付は、足の動きがやはりかなり特徴的なような気がしました。

もリフトはうまいし、全体的にエレガントなんだよね。

 

クラッスス&エギナのペアは、今回はよかったなぁ。

マリア・アラシュも、今回観ると、すごくエレガントな踊りのできる人なんだなぁ、と思いました。

ヴァシリーエフ版、ムハメドフ版のエギナより人間味あふれるコケットではないんだけど、クラッススとのバランスもよかった。なんというか、権力者的ベストカップル(笑)。

 

クラッススも、あらためてみると、ローマ軍=貴族という鼻持ちならぬ感じが似合っているような気がしました。ちょっと細いダンサーですけどね。リフトはもう少し頑張りましょう(笑)。

 

ということで、全体舞踊としてみると、やっぱりグリゴローヴィチ版『スパルタクス』は面白いんだなぁ~と思いなおしました。

なぜか悪役のエギナにみどころが多い(もちろん、カプツォーアのフリージアも抒情的でうまい)ので、ザハロワのエギナもみてみたいな~、と、急に盛り上がってしまいました。

 

 

パリ・オペラ座バレエの「オネーギン」

2019-20シーズンはあまり全幕ものをみていないな…、と思い、パリ・オペラ座公演のシーズンも休日がどうなるか不明だったので、チケット手配が遅くなり、C席からしか取れない!という事態に。

 

ところがここにきて、新コロナVの流行。

 

遠方の田舎に住んでいるので、人ごみへわざわざ行くのはどうも…、と悩み。

しかしなかなか、中止の案内が出ず。

海外公演だからなかなかそうなのか…、かつ、オペラ座自体もこのシーズンかなりいろいろあったようで…。

 

直前まで本当に悩みましたが、上野とんぼ返りで腹をくくって、観劇に行ってきました。

 

お葱自体はなんでこの演目をオペラ座がやるんだろう…、という感じでしたが、どうせみるなら文学物のほうがオペラ座の甲斐もあるというもの。

日程の関係で、選択の余地なくお葱=マチュー・ガニオの回に。

しかし、有名なエトワールがすっかり引退した昨今、ほぼ知らない人ばっかりで、すっかり浦島たろこ気分。

早くからエトワールだったガニオ君はまあいいとして、私の中で若手だったエレオノラ・アバニャートすら引退してたとは…。

唯一知っているドロテ・ジルベールとガニオ君は2大巨頭といったところで、当然ペアなし。

 

さて。

4階席なのでどうかなー、と思っていたのですが、かろうじて正面だったので、部隊の構成をみるという点では十分。

当たり前だけど、表情はみえません。

(個人的にオペラグラスは苦手なので、矯正視力の裸眼でみるよ)

そうなると、ちょっと華に欠けるダンサーたちのキャラクター見分けが最初ちょっときつい。

オリガがもうちょっとコケットだとよかったんだけど…、衣装のせいもあって、他の群舞と見分けがつかないことも。

タチアナはアマンディーヌ・アルビッソン。特にマドモワゼル時代のタチアナは、あまり性格がはっきりしていなかったかな…。

二人ともあまりキャラが立たなかったので、二人姉妹の性格の違いが、正直、あまりわからなかった。

 

そしてガニオ。

期待していたのだけれど、期待が高かったせいか、思ったほど…、オネーギンの人格がみえず。

なんとなく、以前薄っすら、ガニオは本当に表現力が高いのかな?、と思った記憶が…。

 

でも、上から全体を眺めていたおかげで、一つの舞台にいろんな心理描写が仕込まれているという、クランコの良さはわかったかなぁ。

 

鏡のシーンは、今回しみじみ思ったけど、ここのお葱はタチアナの妄想なわけで、本来のお葱ではない、というところ、このシーンのガニオはよかった。抽象表現のほうが向いているのかな…、と思った次第。

 

あと、さすがに最終幕はよかった。

タチアナは夫の愛情のおかげですっかり円熟した美しさを身につけた、というのがわかるのと、それに圧倒されるお葱。

そして、最後の寝室のシーンの心理描写のダンス。

わかっていても、大人の葛藤は何度見ても面白いですね~。

 

ちなみに、今回は行き返りの電車で原作を読みました。

プーシキンの文章は、現代的な小説の体をなしていないし、当時のロシアっぽいところでやたら外国文学との引用?が煩わしく…、現代人にはとても読みにくい(翻訳ですが)のですが、タチアナの最初のラブレターに対するお葱の対応、最後のお葱の手紙をタチアナが読むシーン、この二つはとても興味深かったです。

 

なんというか、ラブレターに対するお葱の態度は冷酷、という感じではなく、実に常識的で感心なお説教を垂れているのですよ。至極まっとう。

 

ちなみに、実際的にはタチアナ17歳、お葱22歳なんだそう。当時は女の子からお手紙を出すこと自体、はしたない行為なんだそう。思慮深いと覆っていたタチアナなのに意外。そして時代ですね。

お葱はそんなタチアナの軽はずみを現実的にたしなめているふうにもみえます。

 

そして最後のタチアナが手紙を読むシーン。

これはクランコの振付よりもっと感動的です。タチアナ、スバラシイ。

「あなたを愛していますが、夫に操を捧げます」と言い切るのは、さすが、神々しくすらあり、ここでは『オネーギン』ではなく『タチアナ』の物語といったほうが良い。

 

というわけで。

とりとめもないけれど、とりあえず備忘まで。

 

中欧旅行で考えたこと③

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ドレスデン

アウトバーンでひどい渋滞にはまり、ドレスデンについたのはほぼ4時ころ。

ヨーロッパの秋は日本より日没時間が遅いので、明るいといえば明るいのですが、うっすら暗く、ひんやりとした時間帯。

 

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劇場前広場のパフォーマンスとザクセン王の像

日曜日なので、広場でパフォーマンスが繰り広げられているのがヨーロッパらしいと思いました。

 

かなり昔、というか学生時代の専攻と感心が「教皇VS皇帝」の文脈でのドイツ諸国とイタリア(イタリアという国は存在しない)、だったので、南ドイツの諸国の話をガイドさんから聞くと、妙にしみじみ。

 

それにしても、弾丸×旧市街ツアー×スッポトハントの旅のせいか、今回の旅はやたら石畳を歩いたな…。

 

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ドレスデンはほぼ壊滅した町、というイメージがありましたが、そこはやはり石造建築だな、と思ったのが今回の旅。

ドレスデン東西ドイツ統合後、かなり修復が進んだそうで、瓦礫から石造建築がかなり復元されたそうです。

ちなみに、黒いところが戦火で焼けた跡かな…、とも思ったのですが、このあたりの石は砂岩石だそうで、砂岩石は古いものは黒ずみ、新しいものは明るい色をしているのだとか。

 

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マイセンによる王たちの行進

ドレスデンの滞在時間は、このあと夕食までにプラハへ行かねばならんので1時間、という暴力的な設定だったので、実際にはこの広場周辺をぐるっと回っただけなのですが、ベルリンとは異なる建築群の嵐に、予想外にも強烈に印象に残った町となりました。

 

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石造建築の嵐

今回の旅では、建物の中に入る、という体験が極端に限られ、ドレスデンでも教会には入れず(コンサートのため制限されていた様子)。

 

ちなみに、最近日本で定着化しつつあるシュトーレンドレスデン発祥とのことをガイドさんに聞きました。

20分ほどしかない自由時間にプラッと歩いていると、たまたまベッカライが目に入り、近づくと軒先にシュトーレン山積みに…。

そして、でかい!

 

気候のせいですっかり冬気分、で、まだ10月というのも忘れ、お買い上げ。

ただいま家の冷蔵庫で眠っていますが、シュトーレンは早く食べ過ぎても味が浅いので、いつ食べればよいのだろう…、とドキドキしています。

 

バスの中で聴いたドレスデン空襲の話と、この冬の黄昏の歴史的建物に妙な憂愁を感じ、それがドレスデンの印象となりました。

 

しかし、帰国後、ドレスデンで極右に対する非常宣言が出されたニュースを聞くと、やはり旧東にあるうっすらとした闇のようなものが現実にも残るのを感じ、現在の複雑さをあらためて思います。