pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

イリ・キリアン版『兵士の物語』

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セリフや題材、舞台の仕立て方が古臭く、でもある意味現代的な解釈をすれば面白いのでは、と思った『兵士の物語』。

期待を込め、現代バレエの一人者・イリ・キリアン版を買ってみました。

キリアンは、じつはあまり好みではないコレオグラファーですが、高踏的な振りが『兵士~』の泥臭さを上手くダンス言語に置き換えて、演劇臭を抑えたモダン・バレエになると思ったのですが…。

今回みたのは1988年の録画で、主演はスペイン国立ダンス・カンパニーの芸術監督だったナチョ・デュアト。
コレオグラファーとしてのイメージが強かったのですが、ダンサーだったのか(当たり前か´д` ;)。
イモっこアダムとは違い、セクシーでかわいい兵士ですf^_^;
(ただし、振り付けのせいか終始くねくねしてますが)

しかし、キリアン版にしても、基本は原作どおりで、あまり現代的な解釈はないようにみえました。
この版は原作どおりフランス語なので、何言ってるかさっぱりわかりませんが、ロイヤル版と流れは同じなので、なんとかついていけました。
語りは一人のナレーションで、ダンサーが語らない分、踊る人の負担は少ない(踊りに集中できる)ように思いましたが、一本調子でメリハリに欠けるかも´д` ;。

これは公演記録ではなく、映像のために撮られたものなのか、編集がわざとらしくって、ここでマイナス。
心理描写が押し付けがましくみえて、ダンス舞台としての魅力を半減させてますよ´д` ;。

先日の公演も、ラストに唐突感がありましたが、今回も然り。
原作がそうなのかなぁ、と思いました。

キリアン版は、ロイヤル版ほど特定の時代臭はないのだけど、それでもやはり、普遍的な感じではない、おとぎ話の色が残り、ちょっと期待はずれ。

現状に満足できない人間の哀し性の描写に集中して、些細な欲が人間を滅ぼす、とか、悪魔は主人公自らか生みだすエゴ(欲の擬人化)、とかいうふうに、おとぎ話臭を消してもっと抽象化・モダナイズすれば面白いと思うのだけど…。