久しぶりに映画を観ました。
映画は好きだけど、あいかわらず、みるのがしんどくてつい億劫に。
ショーン・ペン主演の『きっと ここが帰る場所』。
全然前情報なくみました。
ショーン・ペンが、崩れた「シザー・ハンズ」ばりの厚化粧でトップを飾るので、いったい何者なのだろう…、という興味が先行しつつ。
「あらすじ」を読んでもちっともわからないほど、描写が淡々としています。
だけどまあ、地元ではちょっとした有名人なのか、スーパーにいっても、みんな、何となく注目してしまったり、勝手に写メをとられたりしながら、そうした現実をトホホながらに受け入れているようにもみえる。
このあたり、ショーン・ペンはとてもうまいなあ、と思う。
脇役もなかなか個性派ぞろい。
すごく淡々と、少し退屈で、だけど素朴に(懸命に)人びとの暮らすダブリンへ、ニューヨークから父が危篤という知らせが届きます。
↑このへん、ほんと全然説明描写がありません。
で、帰ったら父が死去。
そしていきなり、濃いユダヤ社会を垣間見させられるのだけど、ニューヨークって、ほんと不思議な街だ。
なぜ、シャイアンが活動を休止したのか、この中盤まで全然説明されなかったのだけど、ここでようやくその理由が判明。
彼は見かけのロッカーとは全然違う、偽の「ポップスター」だったこととその苦悩(影響された若者に死をもたらしていた過去)を告白します。
なるほど。
そして父と疎遠だったらしいことも判明。
そして、この父が、ずっと、強制収容所に入れられた時代のナチスの残党を追っていたことがわかり、成行き?で、その残党を追うための「トランス・アメリカ」をやるわけですが、ここもまた、全然説明なく始まります。
終始、ポツリポツリとしか話さないシャイアン。
旅の途中出会う人との会話が、何でもないけれど、すべてものすごく核心をついている。
そして、クライマックスには、ニューヨークユダヤ人社会の大物(ナチス残党狩りのプロ。彼は、NYでシャイアンの依頼を一度断っている)が突然姿を現したりと、淡々としながらも、ちゃんとつながっていくあたりがすごくよくできている。
このおじさん(おじいさん?)も、とてもいい味出してる。
その完璧さは、昔みた「モサド」の映画を思い出しますが。
そういわれてみれば、鼻が長い…。
復讐なの?と、意外に着実に相手を追跡していくシャイアンですが、最後にあったのは、カタルシス。
50のおじさんがようやく、大人に脱皮する、というだけの話ですが、なかなか、面白かったです。
人生はすてたもんじゃない、というとこですかね。
やっぱり、ショーン・ペンは怪優ですねぇ。