pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

『インディアン・ランナー』

久しぶりに映画をみました(~~;)。やはり2時間映像をみるのはしんどいよ~。

『インディアン~』はGya0!で無料配信中です。1991年とちと古く、いまは大御所?ショーン・ペンの初監督作品だそうで。そういえば、「初」は外したとか聞いたような…

お話自体はあんまり起伏がない、ある種よくあるアメリカ的な内容です。
1970年代ころが舞台で、経営難で農園を手放しいまは警官をやっているジョーと、ベトナム戦線から帰還した退役兵の弟・フランクの、大人になってからの人生のすれ違いの物語。
お兄さんは実直・模範的(顔もある意味典型的アメリカ人)、自他ともにそう認めていますが、どこか、そう思われることやストイックな自分に違和感を抱いてもいる。
一方弟は現実にまれにはいる破滅型の人間で、凶暴でもあり、どうしようもなく、堅気に生きることができない。
ちなみに、ベトナム帰還兵の精神的破たんはアメリカ映画に時折描かれるモチーフですが、今回はそればっかりでもないみたいです。
とにかく、それほどメリ・ハリはない。

冒頭にインディアンの狩にまつわる呪術的な挿話があって、全体に、ぼんやりと、そうした迷信めいた雰囲気が漂います。
追跡中に被疑者の青年を「正当防衛」で死なせ、その両親から呪いをかけられたように、ジョーの周りでは両親が相次いで亡くなっていく。
一方、フランクは、鹿の精気を奪おうとするインディアンのように、無意味な殺人を犯してしまう。

二人は反発するわけでもなく、お互い羨望しすぎるわけでもなく、またそれぞれの「異」を一番よく理解して、決して重なることはない人生をそれぞれ歩んでいくような感じで終わります。
男の子の兄弟はなかなか難しいといいますが、まあ、そんな感じでしょうかね。
なんとなく、「カインとアベル」の話がベースにあるような…。
スタインベックの『エデンの東』にも似て、じつにアメリカ的。

ちなみに、登場する俳優がいかにもショーン・ペン的で、個性派ぞろい。
フランク役はごひいきヴィーゴ・モーテンセン
イースタン・プロミス』とほとんど変わらないのがすごい。昔からヤクザ向きだったのか…。意外。
エキセントリックなフランクの恋人役にパトリシア・アークエット。時どき顔が怖いけど、おおむねかわいいです。
そしてなぜか、私がみる映画でだいたいちょっとしか出ないのに、たいてい無意味に殺されてしまうデニス・ホッパー。謎だ…。
他にも、ジョーのメキシコ人の奥さんによる移民向け英語教室の教え子役に、一瞬、ベニシオ・デル・トロが出ています。この人も20年間あまり変わっていないようで…、ある意味、すごい。