pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

ヤン・ファーブル『またもけだるい灰色のデルタデー』

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 本気ステージは来月のベジャール東京公演までないので、なんだか暇なシーズンです。

 先週、地元で東京バレエ団のクラシックの公演があったのですが、やる気のなさからチケットが買えず(公演の前日に前売りを買おうとしたら、プレイガイドがお休み)、なんだかな~、という感じ。

 そのかわり?、金沢でヤン・ファーブルの公演があって、当日券でも買えそうだったから、行ってみることに。
 ヤン・ファーブルのステージは一度観たことがあり、ベルギー的乱痴気炸裂、遅刻して入ったときにはすでに、パンツ一丁で踊る太ったおじさんがステージに立っていて、その後も…、脱いだり騒いだりして大変だった、という記憶しかありません(~~;)。まさにブリューゲルの絵を地で行くお方。
 だから、近くでやっていなかったら観なかっただろうなぁ。

 なんだか思わせぶりのタイトルと黄色いドレスのチラシからは、何をみせてもらえるのかまったくわかりませんが、『またも~』はアメリカの有名なカントリー・ソングの一節らしく、『Another sleepy dusty delta day』。記号みたいな「デルタデー」はミシシッピ川流域のデルタ地帯特有の気象なんだそうで。
 最後にはじめてとおしで歌われ、アメリカ南部の乾いた切なさがようやくわかります。

 舞台はソロ・ステージで、キリシア人ダンサーが詩(自殺しようとする青年が恋人にあてた手紙)を読み、歌い、踊ります。やはり、ちょっと下ネタ気味…。
 どうでもいいことですが、このダンサーがいかにもギリシア人という顔つきなのが気になって…。アナ・ムグラリスギリシア人の典型的な顔なんだな~と、妙なところに感じ入ってしまいました。

 「自殺」がモチーフになっているというところが、よく死を扱うファーブルらしいですが、今回はいつもほどどぎつい生とのコントラストは感じられません。
 手紙を書く青年は、「生まれることを選べなかった自分だから、死を選ぶ」というようなことを書き残し、「死」に落ちていく瞬間を書きつづるわけなんだけど…、記された時刻の積み重ねが、なんだかんだ時間を稼いで生に執着しているんじゃ…、なんて思えて仕方がなかったのですけど(~~;)。

 そしてカナリアはほんとうに撲殺されてしまったの?

 …なんて具合に、トータルの印象より細部が気になって集中してなかったようです。
 なんとなく釈然としない感じが、「ビリー・ジョーの歌」と共通しているのかもしれませんねぇ。