pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

「女の敵はオンナ」の敵?

漫画家の内田春菊。自分がもう少し若かった時は「いかがわしい」?と思っていたけれど、あらためて『目を閉じて抱いて』などを読むと名作。全活動は追っておらず、また、漫画家以外の活動には注目していませんが、最近はストーリーのあるものよりエッセー漫画の方が面白い。

男運が悪いのか男が悪いのか、本人があまり気にしていないのか、最近は他人から「奔放」と呼ばれる自分をネタにしているようです。
表面的なフェミニストでなく、「稼ぐ女」として素であるこの漫画家に注意を喚起されたキーワードが、働く女性がときどきつぶやく「嫁が欲し~」の一言。
こういうことも、女性による隠れ(無意識?)女性蔑視の思想なんだそうな。

漫画の中で、「男性と女性を置き換えてみれば、(女性に当然だと思われていることが)おかしいということがよくわかる」というようなセリフがあって、ふと思い出したのがオノ・ヨーコの「日本男子沈没」というエッセイ(『ただの私』所収)
マッチョ?な奥様のために、貞淑な夫は「昼間は童貞のごとく、夜は種馬のごとく」あるべき心得をクソ真面目に説いていて、結構笑えますが、内田春菊のいう、「男性と女性を置き換えてみれば…」というセリフがよくわかる一説でもあります。

ジョンとヨーコの時代に同時代に生きていないので、現実のオノ・ヨーコがどのくらい好奇の目でさらされていたのか知りませんが、「有名な欧米人と結婚した」=日本人が世界と対等に渡り合ったことの証=日本の誇り=「オノ・ヨーコ」という図式はあまりにもひどい。
最近になって、オノ・ヨーコの回顧展も日本で開かれるようになり、オノ・ヨーコの本職がアーティストであることも一般に知られるようになってきた(と思う)のですが。

ヨーコと付き合うようになってジョンがおかしくなり、ビートルズは解散したとかしないとか…。
当時であってもオノ・ヨーコは前衛的(ジョンとの出会いとして有名な「YES」の作品も、ジョン抜きに作品として自律)で、目からうろこなのはジョンの方では?それなのに、大衆的な女性蔑視のバッシングに才能まで否定されたオノ・ヨーコ。余談ですが、彼女は戦前的なブルジョワ階級出身なので、この一件だけみると、ポールのような労働者階級出身者のほうが守旧派なのがよくわかります。

ちょっと始まりから話がそれてしまいましたが、オノ・ヨーコ内田春菊も、自律した人たちは素のまんま同権主義者の仮面を敵意なしにひっぺがせるからすごいですね~