pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

ロダンの「接吻」

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1980年代か1990年代前半の漫画で、原田梨花という漫画家の短編集に収められていた作品に、ロダンの有名な作品「接吻」が大学のキャンパスにあり、冷めた女子大生の心象を表すモチーフになっていた、というのがありました。

題名は忘れたし、原田梨花の作画は今ひとつ好きでない(目が苦手)のですが、東京生まれらしい独特の冷めた感じが、なんとなく、「らしいな」と思う作家。

このお話を読んで、ものすごくロダンの「接吻」をみてみたい!という気になって、西洋美術館にあったっけ…と思い、ロダンコーナーへ行くも、なんだかしっくりこず…。
イメージが違うな~、と思っていたのですが、その理由が今回ようやくわかりました。

だだ今横浜美術館のヌード展で展示されている、テート美術館所蔵の大理石バージョン。これだったのですねー。

(このママ作品が日本の大学のキャンパスにあるわけはないので、あくまでもフィクションです)

大過ぎてほどんど「接吻」がみえませんが(笑)、彫刻鑑賞の醍醐味、量感と大理石の質感が圧巻でスバラシイ。

どうみても男性の手が大きすぎる気がするのですが、その効果たるや。
ロダンは批判的に「人間から直接型取りした」と言われたとか、というエピソードがありますが、そうじゃないだろう(*´-`)。

ママ、ではなくて、あまりにも感情を揺さぶる造形に仕上げてくるのて、そのリアルさ(実在感)が、人の感情に作用するんでしょうね。

ちょっぴり、男性よりも女性のほうに積極的な意思を感じますが、それはさておき、この手が好きだな~。
こんな抱擁をされたら惚れるわ(笑)。
私的には「接吻」というタイトルよりも「抱擁」というほうがいいと思うけど、これはロダンがつけたわけでなく、批評家らしいです。

ダンテの『神曲』に出てくる悲恋のカップル(不倫または不貞)がモチーフになっているそうですが、この際どうでもいい。

やっぱり、ただの人間の像を作って人の感情を揺さぶる、ロダンはすごい。

ただ、残念な話として、このモデルはテキトーな若い男女に何度もポーズをとらせて作っているそうで、両者の間には何の愛情もない無味乾燥のエピソードをきいたことがあります。

ここでも、現実と芸術は別物らしい。

だからこそ、ロダン恐るべし、ですかね。