私が物心ついた1990年代は、まだまだハイアートが市民権を持っていた時代で、当時、「現代美術」を標榜するところでよくみかけたのがベッヒャー夫妻。
最近、みかけないなぁ…。
当時、京近美の一階の小さな企画コーナーでみた「ベッヒャー夫妻とその弟子」展(正確なタイトル忘れた)で、ドイツ写真は面白いなぁ、と思い、何となく記憶に残ったアンドレアス・グルスキー。
大個展をやるとのことで、新美術館に行ってきました。
産業遺跡の肖像を撮り続けたベッヒャー夫妻の写真が記録映像でないように、グルスキーの作品もただの写真ではなく、「ビュー・ポイント」を提示する作家ですな。
デジタル修正がバンバン入っています。
何となく思ったのは、ドイツ的ワーグナー的。
スーパーカミオカンデも99セントストアも、アンゼルム・キーファーに似て壮大なオペラ的視点(あるいは神の視点)があるなぁ…。
もう一つ、東京都写真美術館の米田知子展。
一言でいって、「サイト・記憶」展。
女性写真家、というと、どうも蜷川実花のようなガーリーなものしか思い浮かびませんが、こういう人がいるんだなぁ、という新鮮な驚き。
これもまた、単なる記録映像でも私小説的告白写真でもなくて、「ビュー・ポイント」を提示することでみる人自身に潜む記憶の断片を活性化するような作品。
東京で700円は良心的ですな。
久しぶりに写真が面白い年です。