pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

ブルメイステル版パリ・オペラ座「白鳥の湖」再見。

ここ最近、コロナ禍で舞台不足。

そんな気分のムラで夏にロイヤル・バレエのガラを見ましたが(急に第7波が盛り上がった時期だったので、田舎人としては恐怖の最中)、やっぱり、全幕がみたい!という気持ちがムラムラ。

 

秋は流行が穏やかだろう、と思い、物色したら、モンテカルロ・バレエしかない。

マイヨーとは前回来日の「LAC」でようやく和解?したような気がしましたが、前衛でも基本好みではなく、しかも「じゃじゃ馬ならし」なので、同じ月のスーパースター・ガラとすごく迷いましたが…、全幕にかけることに。

 

…この感想はいつか書こう。

 

さて。前置きが引き続き長いですが、上京するついでに、展覧会をみることに。

しかし2022年はどういう訳か、どうしてもみたいと思う展覧会がなく・・・、諸事情?からアーティゾン美で開催されているオペラ座の展覧会を見ることにしました。

 

アーティゾンは2回目ですが、良い美術館ですね。

 

個人的には近世のフランス文化史にあまり興味がなく、なかなかに難しい展示ではあり、さらにはオペラにも興味がないのが辛いところでしたが…、資料的には良いものが多く出されており、ロマンティックバレエのあたりから、グリジとかプティパとか、ようやく理解できる範囲に到達。

 

2020年のオペラ座来日公演の際は、知っているプリンシパルが激減していたことに衝撃を受けたものですが、展示の最後にバレエ公演の映像ダイジェストが流れていて、おそらく最近のキャスト、この映像が欲しいなーと思いました。売ってないかな…

※展覧会自体は総合舞台芸術が主題なので、必ずしもバレエのみ主ではありません。

 

ようやく前置き終わり。

 

そんなわけで、久しぶりにオペラ座のDVDを観ようと思い、やや苦労して中古版を手に入れた「ル・パルク」をみてないかも…(実際には観ており、パッケージを手にしてやや退屈だったことを思い出しやめた)、とか、カール・パケット様の「白鳥」(カールはロットバルト)で痺れたい?とか、逡巡しながら、最終的に観たのが、1992年公演のブルメステイル版「白鳥の湖」。

 

初見であまり楽しめなかったような…気がしたのですが、ラクロワみたいな、1980−90年代のギラギラしたパリ・オートクチュールの世界を見たいような気がして、チョイス。

実際にはアーティゾンにも展示されていた毛利臣男氏の衣装デザインで、これが超カブキ調=わかりやすい異国趣味だったので、これが初見では楽しめなかった理由のひとつだったことを思い出す。

 

ただ、何年前に購入してみたかは忘れてしまったのだけれど、再見してみると、この80ー90年代的ギラギラさのエネルギーが、今となっては面白いなぁ、と思いました。

なぜかアーティゾンの展示ではディスられていた(?)バスティーユも出来立てほやほやの頃、時代の高揚感とうまくマッチしている。

 

ブルメイステル版は自分が見慣れているグリゴローウィッチ版やヌレエフ版に比べてやや説明くさく、野暮ったく、古臭いというイメージがありましたが、これは他の映像、ザハロワ&ボッレのスカラ座バージョンのせいで、20世紀黄金期(私称)のピエトラガラ&パトリック・デュポンというスーパーペアにこのゴージャスさと緻密な描写がすごくマッチしており、「白鳥」を観た後あるあるの、「これだから男は!」というイライラを感じることなく(笑)みる事ができました。

ちなみに、エンディングは意外にもハッピーエンド。死をも恐れないオディットの愛が悪に打ち勝つ、というバージョン。呪いも解けて、めでたしめでたし。

 

深読みすればやはり男に都合のいい話なんですが、総合芸術の完成度の高さにそれも霞んでしまいます(笑)。

 

どうでもいい事ですが、通常よくあるように、オディールがオディットに擬して王子を誘惑する、というふうには今回は見えず、オディットとオディールは別人格のように見えました。

(元々、白鳥は二人は別のダンサーが配役されていたところ、都合がつかなく急遽一人のダンサーが踊り、成功して定番化したと言われる)

なので、間違って結婚を申し込んだ、というよりはただ誘惑に負けた、というようにみえ、妙にリアリティ(男の浮気として)を感じましたよ。

 

公演不足の昨今、お題が「白鳥」だと、また白鳥かよ〜、とつい思ってしまうのですが(笑)、ブルメイステル版の白鳥をオペラ座キャストで観てみたいものです。