何かの拍子に、レオス・カラックスの新作が公開されることを知り、また、主役がなぜか気になるアダム・ドライバーということを知り、かつ、県内公開があり、しかも、月曜がサービスデー、というめでたきトリプル+で、「アネット」を見てきました.
カラックスは「ポーラX」以来.
気がつけば、このフィルムの主役だった、今お騒がせのフランス人俳優ドパルデューの息子が、知らないうちに若死にしていたという…、かつ、90年代後半のバルカン半島の戦争の暗い影を背負った、何とも言えないフィルムですが.
個人的に、20代のヘタレ女子ならばだまくらかせたかもしれませんが、中年女子の今の私にとって、やはりカラックスは永遠のヘタレ男子.
なので、「アネット」も基本、先日のギリアム同様、永遠の「男子」映画だなー、という現在での分かり合えなさを感じた次第.
アネットの人形もかなり不気味で、何でこんなレトロ臭い人形を使うんだろう…と思ったけど(いかにもヨーロッパ的アナクロ)、途中、「傀儡」としての寓話的演出なんだなー、と、リアリスムを放棄して戯画として見ることができました.
それにしても、アダムは怪優なのか、今回は、ラマンチャのトビー以上に全く心惹かれない人物として現れています.
オペラ歌手が「何度も死ぬ」ことで讃えられる、と、あっけらかんと言ってしまうのが、皮肉屋のコメディアンだからか、はたまたそういう人だからなのか.
コロナ禍の撮影か知りませんが、主要人物はたったの三人(プラス、人形)という構成は、ますます寓話的で功を奏している模様.
ちなみに、あれ?っと思ったら、水原希子とか福島リラとか、出ていました.
割とアンチが多いけど、キコさんは良い女優だと思うよ.ガンバッテ.
カラックスは、個人的には「汚れた血」以外はあまり・・・という印象(「ボーイ・ミーツ・ガール」もあまり覚えていない)で、どれも煮え切らない自画像が、繰り返し、中年女子には無理.
映画中に出てくる六本木の描写が、とても90年代的だったので、カラックスもまま90年代で止まっているのか・・・・と思い、90年代前半の「アンファンテリブル」と呼ばれた監督たちを、ふと、懐かしく思い出しました.
と、売れっ子路線をいったリュック・ベッソンはさておき、ジャン・ジャック・べネックス氏は今年亡くなっていたのですね….しみじみ.
↑個人的な思いが交錯して、あまり良い評価が言えませんが、エンタメや滋味滋養だけが映画でない様な気がするし、ある意味斬新な現代ミュージカルとしては一見の価値あり.
まあ、好きかどうかは別として.