pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

ABT「マノン」

カンパニーとしては今ひとつ好きではないABT。
いかにもアメリカ的個人主義+資本主義的スターかき集めプリンシパルずが、全幕モノを演じるのはどうなんだろう…と思うのですが´д` ;

びわ湖なら日帰り圏だし、実見したことのない「マノン」だから、ということでチケット購入。
ぐずったのでS席3階席でしたが、主役カップルがジュリー・ケント&ロベルト・ボッレということで…、いくしかありません。

「踊る?ギリシア彫刻」ボッレはギエムとのペアでみたことがあるような…気がしますが、記憶がない´д` ;。

そしてジュリー・ケントはもう伝説かと思っていたのですが…。
(私がバレエを観るようになったときすでに伝説だったような気がするけど´д` ;)
有名なダンサーなのに、映像でもみたことがない。

マノン自体はビミョーな心境になる物語ですが、とにかく幕開け。
ABTのコールドたちは、立ち上がりの演技が浅いなぁ、と思ったのですが、主役たちが登場したのち、彼らの心情描写の間、すごい姿勢で長い間静止するのに…ビックリ。
本当に書き割りかと思った´д` ;。
マノンって、こんな振付たったかなぁ…。

初登場のインパクトがボッレもケントも思ったほどなくて、あら?と思ったのですが…、全般的に、ケントか圧巻。

ジュリエットではないので、マノンにはよい「初々しさ」はないのですが、序盤のデ・グリューと恋情のかわいらしさ、中盤のG.Mの愛人となったときの存在感ある美しさの演じ分けが、とにかくすごい(*☻-☻*)

ボッレは、最初随分軸の揺れるダンサーだなぁ、と心配でしたが、さすがにうまい。

ただ、デ・グリューはあまりあっていないのでは…、とも思いました。
デ・グリューは真面目な神学生だった(はず)のにマノンに魅力されて道を外していく…はずなのに。
最初の初々しさや盗み、殺人を犯したときの黒々しさが演じ分けられていればよかったのに。
なんとなく、ちょっと内気でほんとうはいい青年、というはふうにしかみえなかったなぁ´д` ;。

レスコー役のダンサーは、身体能力の高そうなラテン系。
こういうところは、ヨーロッパ系の古典カンパニーとはちがうアメリカの面白さですが。酔っ払いダンスも超絶技巧。

しかし、ここでもやっぱり、人物描写がよくわからん´д` ;。
レスコーは金のために妹を売る強欲な人物、というイメージがあるのに、今回はデ・グリューには同情してるようにも見えるし、兄妹愛すら感じられるのですが。

今回よくわからなくなったのが、マノンの人物像。
「白鳥」のオディールのようなファム・ファタルでもないし…。
ある意味、空っぽ。
そのときそのときの男の願望?をそのまま実現しているようで…、一貫性がないし、つかみどころがない´д` ;。

マノン・レスコー』自体が、デ・グリューの回顧という、一人の男からみた女性像描写だからかしら?
(ある種、リアリスム?)

うーん、帰ったら原作(古いので読みにくい)とDVDを見直してみよう。

ダンス公演は面白かったのですが、文学鑑賞としてはアタマがいたい(;´Д`A