pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

ステキに『魔笛』。

風邪ひいたがよ(高知弁ふうに)。
最近、冬に風邪をひくことがなく、よしよしと思ったとたん、3月にダウン。
そしていつも、3月は忙しい(TT)。

しかたなく休みの日は引きこもり、ほったらかしDVD鑑賞をすることに。
「のだめ」番外編のオペラ編で、みんながあまりにも楽しそうに『魔笛』を語るので、どれが名盤かさっぱりわかりませんが、ア○ゾンでヒットした、ザルツブルグ音楽祭1982年版を買ったまま、しまってあったのであります。

魔笛』といえば、いつもたいてい、パパゲーノのテーマ曲しか思い出せない。
7年前、ベジャールのバレエ版で観たときはあらすじをちゃんと認識していなくて、ザラストロ=聖という逆転に素でおどろくことができ、ちょうどタミーノと同じのような感じで、かえって貴重な体験したものです。

そして、ほんとうはオペラが嫌い。
なぜかって、どんなに「美しい王子」「王女」といわれたところで、人気歌手には熟練が必要、というわけで実際にはおじさん/おばさんのことが多く(失礼)、感情移入ができないから(^^;)。
でも夜の女王のコロラトゥーラの超絶技巧?ぷりを確認してみたくて、ここはガマン(←?)。

あらためて自分も年をとってみて考えるに、『魔笛』という演目はクラシック・バレエ並みにわかりやすく、スッキリとした構成で、能?や聖書のように、あとは行間を自分で考えるものだな~と思いました。

ここでは、残念なことに、タミーノが夜の女王の侍女たちに「なんて美しいの!」なんていわれても、ペーター・シュライヤー氏は里見浩太郎北大路欣也にしかみえない。
そもそも、蛇に遭遇して気絶するような王子が、姫奪取ができる勇者とは…、私なら考えませんが。
(↑このへん、少し『火の鳥』の王子に似てる)
パミーナも、劇場で遠目に観れば可憐な少女にみえたかもしれません(~~;)。いかにもルーマニア人、という感じがする顔立ちです(悪い意味ではありません)。

ちなみに、母親の夜の女王のほうがむちむちしていて若くみえるな~、と思ったら、実際そうでした。
コロラトゥーラはやはり若くないとムリなのか、実際、若手の当たり役は女王のほうらしい。
でも衣装のせいか、色の白い松子デラックスとか、なんだかどこかでみたキャラに似ている。

↑このへんで、オペラはアップ撮りのあるDVDで観るもんじゃない(劇場で観るべき)な~という雑念が。

パパゲーノはいかにもオーストリア(あるいはチロリアン)風な感じで、私が想定するパパゲーノ像とベクトルが違うワイルド感あふれるクリスティアン・ベッシュ氏。
衣装がそんなにも変ではないし、妙に人間味あふれているので、タミーノがなぜ「本当に人間なのか?」と何度もきくのにピンとこず、そしてまたモノタトスが逃げ出す意味もわからず。

それにしても、1980年代だからか、奴隷=黒人という描写がいささか露骨では…。

そしてなにより、このDVDの訳がちょっと変。
わたしのイメージではパパゲーノは「鳥刺し」なんだけど、訳語は「鳥キャッチャー」。
…気持ちはわかるが、やる気はあるのか?

後半はだんだんストーリーが思い出されてきて、演出そのものをみることに集中できましたが。
いつみても、「女のいうことに惑わされるな」=女こそ悪みたいなわかりやすさには少々うんざりもしつつ(でもまあ、しかたがないか)。

この『魔笛』は、登場人物たちが種種の人間の典型的な役割を各々担っているようなところがあり、そういう意味においては、抽象化されてモダン化されやすい演目かもしれません。
3月4月には、新演出の舞台が埼玉やびわ湖ホールで上演されるようで…、ちょっと興味わきますね。