白鳥の盛り上がりついでに、寝るときにCDをかけて聴いてみました。
それほどよいステレオではないので、やはり「情景」の叢の風の音がよく聞こえない。
し、CDは全幕通して聴くには2枚に分かれている。不便だな~。
CDは1979年の小沢征爾指揮のボストン交響楽団の演奏。聴いていると、3幕目の民族の踊りの音楽が先日のマリインスキーの順番と違う。
このシーンは振付によってアレンジがいろいろあり、民族色が花嫁候補の出身国を表したり、または悪魔のまやかしを暗示したり、と、解釈によって挿入の仕方が違はず。
と、いうことを確かめるために、英国ロイヤルバレエ団の代表的なコレオグラファー、ピーター・ライト版のDVDを見直してみました。
DVDは2002年上演のスウェーデン・ロイヤルバレエ団のもの。衣装やセットが暗く、全体的にゴシック調に仕上げられているのが特徴的。よりドイツ語圏に近い人が脚色すると、こうなるのですかね。
オディット/オディール役はナタリー・ヌードウィストという人で、いままで観たプリマの中ではぽっちゃりめ。きれいというよりは狸っぽく、なんとなく泥くさい感じがしますが、オディールになった時にはその激変ぶりにびっくり。演技派だな~と思います。
ヴィデオのためにクローズアップが多いせいか、ライトの振り付けなのか、この版では王子の憂愁、母親から結婚を強要される、王国の嗣子の立場にうんざりしているのがよくわかります。
また、オディットとの絡み、出会いの戸惑い、徐々に打ちとけ合う様子、悲劇のあとの絶望と許しを乞うしぐさなどがはっきりと描写され、とてもわかりやすい。
ちなみに、これには道化がおらず、家庭教師の戯画的な描写はありません。代わりに友人のベンノがいて、王子の感情と観客をつなぐような役割を果たしています。
ラストは二人の自殺、死をも恐れない二人の心がロットバルトに勝ち、永遠に結ばれる、というパターン。
なお、このバージョンではスペインの踊りだけが悪魔の使者のようです。
よく整理されている点が現代人の感情に一番なじみやすいと思うライト版は、個人的にはお勧めの一本です(^^)。