pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

イタリア喜劇がツボ。

最近、新着映画にめぼしいものがありませぬが。
なぜかGyao!では相変わらず古い映画が放映されています。
 
そこで観たのが、またまた1960年代のイタリア映画で、『昨日・今日・明日』という聞いたことのないタイトルですが、ソフィア・ローレンが主役ということで。
 
クレジットをみていると、監督はヴィットリア・デ・シーカだし、いわゆる巨匠もの。
ローレン&マルチェロ・マストロヤンニの名優コンビが3話のオムニバスそれぞれに性格の違う主演を演じ分けているのがすごい。
ナポリ・ミラノ・ローマというイタリア3大都市をそれぞれ舞台に、小タイトルにローレン演じる女性の名が冠せられています。
(それがなぜ、『昨日・今日・明日』という邦題になるかは謎)
 
個人的にはナポリの巻が一番好きだなぁ。
慢性的な不況から抜け出せないナポリの街で闇タバコを売って生計を立てるアデリーナが、罰金を払えないために収監されそうになるも、なぜか町の人々みんなが彼女を助けてくれる。
差し押さえされそうな家財道具をご近所さんみんなで隠してくれるとか。
(そして、官吏が去った途端、あちこちから家具が返ってくるところが笑える)
これを目撃した弁護士の脅し?に怖気づいた旦那(マストロヤンニ)が、策をあの手この手で弁護士から引き出そうとしたところ、妊婦や産後6か月の女性は逮捕されないとアドヴァイス。
ちょうど、妊娠中のアデリーナは難を逃れることに。
その後も、逮捕を逃れるために計画的に妊娠、いつも間にか子どもは7人に。
旦那もずっと失業中で、逮捕されないとはいえ、子どもの養育費は大丈夫なのか・・・、と思うも、そこはご愛嬌?
ところが、7人目からなかなか妊娠しなくなるし、旦那も精気をとられ気味。コント?のようなやり取りがおかしい。
とうとう腹を決めたアデリーナは子連れで収監されることに。
ここでまたまた町の人たちが大奮起。
あちこちでカンパを募り、罰金分を集めたり。
あと一息、というところで弁護士のセンセイがマスコミを呼び込んで、さらに世論を引き付けることに成功。
あっという間にアデリーナは出所、旦那も精気を取り戻して、働くめども何とかつき、円満終幕。
 
なんでみんながアデリーナを守ろうとするかはあまり描写がありませんが、そこはイタリア的余計なおせっかいの愛嬌なのかしら。
まあ、どっしりとたくましい太陽のようなイタリア女には、そんなこと説明不要なのかしらん。まさにローレン姐さんのキャラクターあってこそ、だねぇ。
 
ミラノ編は一番短く、冒頭から、ぐっと北の都会の風景に。
余談ですが、3篇ともカメラワークと音楽が素晴らしい。
ミラノの街には降りたことがありません(駅には夜行の接続待ちでミラネーゼを食べた)が、学生時代にイタリアを2週間かけて南→北へと縦断したときに、北の町(その時はフィレンツェ)に入った時の、街と人の印象が一変したことがデジャヴのように思い出されるように、ローレンの語りも一変。
ローレン演じるアンナは上流階級のマダム、貧乏作家(マストロヤンニ)とのアヴァンチュールにこうじるも、生活感覚の違いから破局
最初は一人感傷にひたるアンナと、どこか不安げなレンゾがロマンを漂わせ、ローレンもすっかりしっとりマダムに変貌。
ところが、高速道路で彼がアンナの高級車で接触事故を起こした途端、文字どおり彼女は豹変。ジェットコースター的にアヴァンチュールは終焉を告げ、ほかの紳士の車で嵐のように去っていくアンナと、呆然とするしかないレンゾ。
…急にぼそぼそとしゃべる北イタリア人と、うっすらと寒い北イタリアの空気そのままの、これもまた喜劇。
 
最後はローマを舞台に、高級娼婦「マーラ」が主役。
隣の老夫婦の孫で神学生のウンベルトが、彼女に惹かれて神学を放棄しようとするのを、おばあさんに懇願され、何とか思い直させようとするマーラ。
なぜか巻き込まれてしまう彼女の客がマストロヤンニで、ボローニャの実業家の息子役なんですが、ハイテンションぶりが尋常でない。
小ネタにクリネックスが出てきますが、この時代から30年くらい後、イタリアのキオスクでテッシュを買おうとしたときに日本のとは違ってやたらしっかりしているように感じたのはこういうわけか…、などと妙なところで感心。
↑また、このおじさん(ルスコーニ)、マーラに少女のコスプレを迫ったりと…、先鋭的。
あの手この手で何とかウンベルトは神学校に戻ることになり、「私たち、いいことをしたのね!」と喜ぶマーラ。
ナポリほどかしましくもないけれど、人情の町・首都ローマのお話、というところでしょうか。
 
とにかく、3篇三様に演じ分ける二人の俳優に拍手。昔の名優は、すごい。
そしてイタリアならではの都市風景の違いと、その描写わけもまた魅力の一つ。
そして何といってもイタリア喜劇。単なるお笑いでなく、伝統芸の域ですな。
 
まさにイタリアの太陽、ロ-レン姐さんですが、今回思ったことは…
安藤美姫にも似ている(顎や口元)
しかし、何よりも新たな発見が…
ダルビッシュ有にそっくり!
 
…なんてね。