水曜日がお休みにあたり、映画1000円のレディースデーということで、観てきましたよ、『ノルウェイの森』。
大方の予想どおり、突っ込みどころ満載デス。
60年代ファッションに疑問。
時代観の演出がな~。
残念なことに、主役の松山ケンイチと菊池凛子双方が、これに似合っていなかった。
松山ケンイチはとくにカラーのあるシャツが似合っていない。ので、お仕着せ感がすごくヒドイ。
どうせなら、時代を特定しない演出がよかったのでは…。
ある時代(学生運動末期)の学生の抱える焦燥感や喪失感の演出には、全然役立っていませんでしたからねぇ。
それに、その時代にあっても、みんながみんな、ファッションにエッジーではないと思うから、「そのひと(年齢層)らしい」スタイリングでよかったのではないかに。
⊆臾鬚里佞燭蠅隆蕎陲不明。
大方の予想どおり、菊池凛子の直子に疑問。
イメージは違っても、演技でクリアできるのか?という期待には全然そってませんでした。
なんというか、菊池凛子が自分なりの直子像を一生懸命演じているようにみえるのがイタイ。
し、案外ワタナベ役の松山ケンイチも、直子との絡みの演技が下手だった。
長編小説(中編?)が2時間のフィルムのうちで省略されても仕方ないけど、この二人の間の感情が全然伝わってこず、映画の主題がまったくみえません。
喪失感もゼロ。ただひたすら、「早く終わってくれ~」という映画でした。
若者を描く配役の難しさ?
全体に、配役の?が気になりました。
菊池凛子はやはり、直子をやるには年をとりすぎ。
「人は18から19の間を行き来すべき」というセリフ、かなり白けてしまいます。
この年齢特有の痛さがなくて、ムリにブリっ子してみえる。
というか、全般に、原作のセリフを棒読みにしている感じでした。
(よく考えれば、『バベル』の凛子はしゃべらなかった…)
省略するなら、ここも変えればいいのに。
原作の印象では、一人称の回顧のせいかもしれませんが、直子はワタナベのことを全然愛していないというのがよくわかるような気がしますが、映画ではかなりワタナベの存在が大きくなってしまっているような感じで、直子自体の存在感が変わっていますね。
それにしても、二人の最初のラブシーン、私にとっては「呪怨」な感じ(^^;)。コワい…。
「精神を病んでいる」シーンの直子は、設定が30女だったらわかるんだけどな~。
い錣役も見事に、イメージとは違う。
確かに、自分が年取ったら20も25もそんなに違わないんだけど…、大学生のころくらいは1歳の差もすごい差だったはず。
このへん、俳優選びにかなり年齢のばらつきがあり、気になります。
永沢さんは確かに「ハンサム」な万能人間で難しいかもしれませんが、玉山鉄二じゃ老け過ぎだろ~(あのぴったり服もどうなのかね。東大生のエリート官僚候補だろう…)
突撃隊すら、イメージとは違う。手紙を置いて消えてはいけません。
でも一番残念な脇役はレイコさん。
確かに、ピアノの先生なのだけど、こちらのほうに傾いた感じで、美麗すぎる。
むしろ、菊池凛子のほうがレイコさん向きだったのでは…。
ベリーショート&やせっぽっち&色黒というイメージにあわず、煙草とギターも似合っていない。
なので、唯一劇中ながれた「ノルウェイの森」も、不要だったのでは。
(ちなみに、村上春樹自身も「ノルウェイの森」という原作のタイトルが好きではなかったとか。だからあまり曲を重要視しなくてもいいのだけれども…)
直子が死んでからレイコさんと主人公が再会するシーンも、彼女が湿っぽい年増女性になったためになんか違う。
劇中の二人の気まずさみたいに、みているほうも人前で昼ドラ&不倫モノをみているような気まずさが。
レイコさんとワタナベだけが、現実を生きていく同士なのだということがわかる別れが印象深かったのになぁ。
(それにしても、省略が多いわりには、なぜかラブシーンのカットがないな…)
唯一リアルな20代を感じられたのは、意外なことに前の印象が悪かった水原希子。若い=みずみずしいという違いは、菊池凛子と比べると、残酷なくらいはっきりしてしまいますね…。
彼女と演じるときの松山ケンイチのみ、棒読みでないな~と思ったのですが。
思い返せば、トラン・アン・ユン監督の『青いパパイヤの香り』『シクロ』ともに評判の高さの意味が自分にもよくわかりませんでしたし。
原作には思い入れはないけれど、こんなしんどい映画鑑賞がしばらくしたくありません…。
追記:
直子の入った療養所は京都の山奥という設定ですが、京都市は右京区あたりになると市内とはいえびっくりするほど山里になるのは事実です。
もちろん、原作の設定どおりのロケにしなくてもいいのですが、画像をみていたとき、京都というよりは中国山地っぽい鬱蒼さだな~と思いました。
実際、兵庫の山のほうでロケハンが行われていたとか。
私の住んでいる地域には日本アルプスのような高い山脈があり、山地にはそれなりになじんでいますが、なぜか個人的に、中国山脈のあの鬱蒼具合が怖くって、違いがよくわかるのです(^^;)。
なんというか、日本昔話が生まれたのもわかるような気になるのですよ。フフ。