pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

『第9地区』

今日は映画1000円の日。
ですが、特に観たいものはなし。

Gyao!のページでときどき見かけた『第9地区』、意外と評判がよいのでみたいな~と思っていたところ、ようやく観てみることに(※有料です)。
旧作100円の場合には高いけど、なんだかんだ、店頭に行かなくいていいのがラクなネット配信。

28年前に突如南ア・ヨハネスブルク上空に現れた謎の宇宙船から、エビに似たエイリアンが難民として救済され、「人道的処置」として、保護・隔離されることに。
しかし周辺住民とのトラブルが絶えず、MNU(←国連多国籍軍のパロディ)によって、より遠隔地に隔離されることが決定。
法律にのっとり、24時間以内の「退去命令」を伝え、エイリアンから「移住同意」のサインをとるためにエイリアン・スラムに派遣された白人系の主人公が、謎の液体に感染して、徐々にエビ化。
エイリアンがエイリアンにしか操縦できない強力な武器をもっていることから、主人公はMUNに臓器を狙われるはめに。
と同時に、スラム界隈でエイリアン相手に暴利をむさぼっていたナイジェリア系移民のギャングからも、その「パワーの秘密」を狙われて…。

今年のワールドカップで注目を集めた南アですが、ネルソン・マンデラ氏による初の「黒人」政権が誕生してからもう16年。ワールドカップの際報じられたように、その後の治安悪化と外国人流入による犯罪多発(↑のナイジェリア系ギャングはその象徴?)、迷信の横行(エイズにかかったら、処女と交われば治る、とかでレイプ犯罪も多いらしい)など、ビックリする事情をふくめ、「アパルトヘイト」後とアフリカの根深い問題に負うところは多いようです。

そんな「闇」も関係しつつ、『第9地区』は小市民的情けない主人公を中心に世界が回っていきます。
ゴムや猫缶が好物で、突然「シャギャァ!」と襲いかかってくるエイリアン。
いちおう「人道的に」が建前でありつつ、エイリアンの卵の詰まった小屋は軍の応援でバチバチ焼くし、交渉決裂の場合は暴力もいとわないMNUの職員たち。
そのまわりで、「人権?侵害」に抗議するデモをする人々。
なぜかひと組だけ、ほかのエイリアンと違って理性的で、高度な技術をもつ「クリストファー・ジョンソン」と呼ばれるエイリアンとその息子。
主人公は、「宇宙船に戻れば、体を元の人間に戻せる」というクリストファーと協力して、奪われた「黒い燃料」を取り戻しに行くのですが、治療に3年かかるとわかるや否や、クリストファーを殴り飛ばして自分だけ宇宙船に乗りこもうとしたりします。
↑けして、いい人ではありません。
だけど、人間てそんなもんなんだろうな~と、妙に同感できる展開。

結局、最初から主人公をあまり信用しておらず、何度も裏切られながら、クリストファーは「必ず戻ってくる」と言い残して息子と二人、宇宙船で去っていきます。
主人公は完全に「エビ化」したと思われる状況で行方を絶ち、ジ・エンド。

ちっさいのにいろんな機械を操ることができる坊やが、ホログラフを操りながら、「僕たちの星には7つの惑星(衛星?)があるんだね。ここへ帰るの?」というと、20年かけてつくった宇宙船の燃料を奪われたクリストファーが首を振り、「ここで暮らすんだよ」といって、「第10地区」なる新たな強制移住区のパンフレットを指さす中盤のシーン。それを遠くでみる、逃亡中の主人公。なぜか一番ジーンとくるシーンです。

ハッピーでもアンハッピーでもない終わりですが、「人(含エイリアン)の本心て?」というのがテーマですかね。