pico_usagi’s blog

つれづれ鑑賞記を引っ越し作業中です!

『キャラメル』

最近、オンナムービーばかりみてますが…。
珍しい、レバノンの映画です。
美容院で働く3人の女性と常連の年増の元女優、近所の仕立て屋を営む老姉妹の、それぞれの恋愛事情を描く、ただそれだけのフィルム。

中東のレバノンイスラム教徒だと思っていましたが、キリスト教徒もいて、保守的な面もあるんだろうけれど、一般的にアラブ女性に対して抱きがちなイメージよりがあけっぴろげな情景が意外。

不倫中の主人公が、恋人とだけの休日をつくるために苦労するシーン(両親と同居中の上、普通のシティホテルは夫婦の証明が必要)、何とかとれたいかがわしいホテルをせっせと掃除して感じよくするシーン、すごくいじましくて、恋するってすごいな~、としみじみ。
結局、彼は来なくて友人たちが慰めに訪れるところも、女友達っていいな~と思います。

また、痴呆気味の姉と同居しながら、仕立て屋を営むオールド・ミスの、淡い恋がすごく切ない。
姉は永遠の子どもみたいで、妹の恋を邪魔するけど、憎めない。

特に劇的なことは何一つなく、最後に常連できれいな黒髪の女性が思い切ってショートカットにする(たぶん、私たちが髪を切る以上に大変なことなのだろう…)、その喜びと戸惑いに揺れる姿で終わるのが、なんとも鮮烈。
ゴダール的な意味ではないけれど、「女は女である」映画。

ちなみに、キャラメルはここでは脱毛に使われています。ワックスのようなもの?
甘い意味だけではないようです。痛そう…。