コロナ禍の私のモットー?は、「今したいことは、今やっておく」。
そんなわけで、展覧会みたり、美味しいものを飲み食いしたり、舞台を見たり、というのは感染状況と睨めっこで虎視眈々とタイミングを測ります。
六波のピークが一年前とは違い、なかなかタイミングが難しいところでしたが、ここで一つ、GW前に春のみたい展覧会ツアーに出かけることに。
そんなわけで、楽しみにしていたのが「宝石展」。
…結論からいって、がっかりでした。
普段はあまり行かない科学博物館、会場で「博物館にこんなに女性が多いのも珍しいなぁ」とセクハラ?発言している人もいましたが、どちらかというと、私は鉱物が好き。
科学博物館ならではの専門性を、面白く展開してくれていることを期待していたのに・・・。
(あと、国立館ならではの財力ね)
まず、驚きや新知見を得る喜びのない展示にがっかり。
「見て」「わかる」展示ではなく、従来の解説が淡々と展開され、淡々と標本が陳列されているだけの展示に、展覧会にする意義があったのか?と思う。
本で十分ではないか…という気がするが、図録も結構、展示そのままでがっかり。
発売が開幕に間に合わなかったという意味がわからない。
(そして、ほぼ後半のジュエリー展示の分量の方が多いのはさらにがっかり)
第二に、展示がダサい。
しつこいが、ただの標本展なのか?
科学の解明が与えてくれる驚きを視覚化してほしかったのだけれど、まま、モノ展示。
かつ、これは博物館標本としての標準なのかもしれないけど、化学処理と現物ママの境が素人には分かりにくく、「リアル」感よりどこか「偽物っぽさ」が漂い(原石が発見されるママの状態なのか、再現的な状況複製なのか? 説明がないと、素人には胡散臭く見えます)、不信の目でしか見られなくなり。
ちなみに、「ヒカリモノ」の展示のわりに照明がギラギラ一本調子で、見にくかった。
照明デザイナーはつかないの…?
第三に、標本のようなぼっぱなし展示の割に、基本撮影OKにしており、その会場オペレーションがひどい。
ただでさえ見難いケース+小さいモノ展示なのに、巨大な望遠カメラを構えながらリュックを背負った人も多く、合間を縫ってみるのが大変苦痛でした。
なお、個人的にジュエリー展を楽しめた試しがない(臨場感がないので、感情移入のポイントがない。私にとって建築展なみ)せいもありますが、第5章のとってつけた感が半端なく、今回の展示で博物館が「何を見せたい/理解してもらいたい」のか、その狙いが全く伝わって来ず。これで2000円と図録3000円は高い。
さて。地方暮らしにとって、昨今の東京展覧会予約制はかなりハードルが高いです。
日帰りのため、都内を縦横することの見通しも立てにくく、不本意?ですが、今回はブロックバスターづくしになりました(笑)。
余裕をもって予約するしかないので、朝イチの上野の後に向かったのは午後、六本木の国立新美術館。
元皇族マダムの話題でも賑わしい、メトロポリタン美術館展です。
メトは15年ほど前に行った時に見ているはずなのだけれど、当時図録を買っていなくて、コレクションの記憶がほとんどなく・・・、思い返せばすごく観たかったかどうかは不明。
展示されていた作品のチョイスのせいか、案外小品が多いのかな…という印象。
同じ名品展でも、2年前のロンドン・ナショナルギャラリー展の方が面白かったなぁ。
唯一印象に残ったレンブラントの「サスキア像」はなぜか絵葉書の写真があまり良くなく、感動が残せず。(買ったけど)
これもこれで2000円は高い。
最後に。
時間調整のためにはいったダミアン・ハースト展。
ロンドンのスター画家ですが、この時期、日本で「桜」の展覧会をするなんてあざといな…と、当初はナナメに思っていたのですが、結果として、これが一番良かった。
広い会場をぐるりと回るだけで、全貌を見たような気にもなれる、という、なんだかなーという展示ではありますが、ピンク・ブルー・黄色・白の色の組み合わせは、なんとなくハーストらしいと思う色相だし、かつ、インタビューが秀逸なのですが、ハーストがなぜこれを描いたのか、ということがいろんな繋がりというか展開をみせてくれます。
シンプルだけど、いかようにも、みる人が自由にその人の視点で見ることができ、かつ、新しい視野がひらけてくる驚きがある、体感的な展示。
ということで今回唯一、「見たなー」という展覧会体験をくれたもの。
展覧会とは、かくあって欲しいものだとしみじみ思ったツアーでした(笑)。