マクミランの「マイヤリング」がどういうわけかAmazon検索上位にきていたので、ムハメドフを超えるものはないだろうな…と思ったのですが、エドワード・ワトソン主演版を買いました。
ちなみに、ロイヤルは男性プリンシパルが今ひとつ、有名人がいない、というか知らない。ワトソンも初見。
概ね、ストーリは忘れていましたが、フランツ・ヨーゼフ1世周辺の事情にわけあって詳しいので、なんとかなりました。
しかし、登場の瞬間からルドルフ皇太子は不幸と苦悩に満ち溢れているので、いったい、この2時間をどう見せてくれるのか気が重くなりましたが、果たして、一貫して気が重いステージだった。
いつか実見してみたい演目上位にあるものの、これほど、見るのがしんどい演目はありません。
しかしまあ、心理面はひたすら苦悩と冷厳と狂気と世紀末なので、なんですが、とにかく、マクミラン真骨頂ともいうべき複雑なリフトはかなりの見応え。
心躍る「素敵」感は皆無ですが、男女とも、とにかくリフトがすごいわ…。
…と、こんなに気の重い演目なのに、なんと、2本見比べやってしまいましたよ…。
比較になるのはムハメドフ主演の1994年上演の映像。
ムハメドフははっきりいって、むしろ皇帝然としているので(イワン雷帝とかね)、ダメな坊ちゃん皇太子としてはワトソン君の方がリアリティあります(笑)。
身体的技巧より文学的な振りが「マイヤリング」の持ち味なので、この点はワトソン皇太子優位。
ムハメドフ版は初見の時、レスリー・コリアのラリシュ夫人がイマイチおばさんぽくて(髪型のせいもあり)馴染めなかったのだけれど、自分も歳をとったせいか、若い愛人を繋ぎ止めようとする悲哀感はそれなりにわかるように。
しかしなぁ、やっぱりマリー・ヴェツェラはヴィヴィアンナ・デュランテを超えるのはなかなか難しい。ワトソン版のマーラー・ガレアッツイは名前から想像するに同じイタリア系と思われるけど、ちょっとイモっぽい。
もちろん、実際のマリーもどちらかというとお芋さんなんだけど…、登場した時(実は2回目なのだけど)の劇的さが…、減少。
全体的にはスターが多いのはムハメドフ版ですが(廷臣役にアダム・クーパーもいる。あと、クレジットがないけど、神父役はマクミランでは…?)、ワトソン版の方が、配役全体のバランスはいい。
女性の重要な役が多くて、実際、女性の主役は誰かがわかりにくい「マイヤリンク」ですが、今まではお飾りだと思っていたステファニー王女役も、実際、初夜のリフトがものすごくって、これもなかなか実力がないとできない役どころなのが、今回わかりました。
しかし実見するには…、今後の配役が悩ましい演目ですね。
且つ、観て一ミリも心躍ることのない演目だし…。